記憶

心と体のこと

2013年01月19日

幼い頃の記憶というのは、おぼろげなものです。そんななか、鮮明に残っている、ある日、ある場面の記憶というものがあります。

 

私は京都のまん中あたりで生まれました。近所に二軒のお菓子屋さんがあり、一軒は量り売りから、ちょっとした進物用まで取り揃えたお菓子屋さん。昭和30~40年代当時、一般的だったお菓子屋さんです。おじさんとおばさんのご夫婦でやっておられました。もう一軒は昔ながらの駄菓子屋さん。こちらは小母さんが一人で店番をしておられました。

 

親からわずかばかりのおこずかいをもらうと、友達の動向やその日の気分で、子供ながらに二軒の店を使い分けていたように思います。そんなある日のこと…。

 

私は幼稚園から小学校に上がったばかり。学校から帰ってきて、さて今日はどちらのお菓子屋さんに行こうかと考えています。並んだお菓子と、その日食べたいお菓子を思い浮かべながら、駄菓子屋さんの小母さんは「学校行ってきたんか?」と声をかけてくれることを思い出します。

 

駄菓子屋さんにしよう! そう決めると、私は駄菓子屋さんに駆け出します。

 

その時の心模様を、今でも手に取るように思い出すことが出来ます。記憶というものは、年数を経るほどに組み替えられているともいいます。自分流に組み替えられた記憶というものに、また意味があるように思います。

 

慣れない学校、毎日きっと緊張して過ごしていたはずです。下校後、ほっとして出かけた駄菓子屋さんで小母さんに掛けられた言葉は、「頑張ってきたなぁ」とも「えらいなぁ」とも聞こえたのでしょう。そんな言葉をまた聞きたくて、私は駄菓子屋さんに出かけます。よほどうれしかったのでしょう。その時のうれしさが、記憶を今に繋いでいるのでしょう。

 

過去は未来

 

駄菓子屋さんの小母さんの言葉は、さりげないようでいて、接客の極意です。店を持った今の私に、時空を超えて大切なことを伝えてくれます。

 

幼い日の私は、今の私よりずっと純度が高くて、感度が鋭かったように思います。あの頃うれしいと感じたこと、嫌だと感じたこと、それらの記憶は闇夜に瞬くキラ星のように、私の進む道を照らしてくれます。

鏡よ 鏡…

店のこと

2013年01月04日

あけましておめでとうございます。しののめ寺町は明日、1月5日(土)から営業させていただきます。本年もよろしくお願いします。

 

左枠のニュースでも書いていますが、このホームページはJimdoみんなのビジネスオンラインというサイトで自作しています。開設したのが、ちょうど一年前の1月4日です。ホームページ作成など到底、無理と思っていたのですが、このサイトなら大丈夫と、知人からアドバイスされたのがきっかけです。

 

このサイト、素人にもわかりやすい仕組みになっていますが、なにぶん初めてのこと。幼子が積み木を積み上げていくような、たどたどしさでした。にもかかわらず、お付き合いくださった皆様、ありがとうございます。

 

仕事を終え、夕食の片づけを終え、それからパソコンを開くのはきついこともありましたが、かけがえのない時間でもありました。自作のホームページは鏡のようなもの。今の自分が映り、その向こうになりたい自分が浮かび上がります。 厳しくはありますが、向き合うことは大切です。

 

起業後、様々な業種の方と知り合う機会が増え、店のコンサルティングやホームページ作成など、起業や起業後のサポートをする職業の方がたくさんいらっしゃることに驚いています。お話をさせていただくと、やはり餅は餅屋、その道のプロとして、素人には思いもつかないノウハウをお持ちなんだと感心することしきりです。

 

プロの方のように、なににつけ上手く事は運びません。遠回りだったり、ときに真逆のことをしていたり。振り返ってみると滑稽に思えることもたくさんしてきました。そうした至らなさに気づけるのも、自分の手で積み木を積んできたからではないか、鏡と向き合ってきたからではないかとと、無理からではありますがそう思い、また自分を励ましているところです。 これからも様々な方のご指導を仰ぎながら、自分たちなりにやっていこうと思っています。

 

最後に、この一年、無料でサポートしてくださったJimdoチームの皆様、本当にありがとうございました。これからはちゃんと料金をお支払いします。今後ともよろしくお願いします。

財(たから)宝

店のこと

2012年12月30日

今日12月30日、「しののめ寺町」は本年の営業を終了しました。

雨にもかかわらず、多くのお客様にお越しいただき、夕方にじゃこ山椒と塩昆布がきっちり同時に完売! なんとも気持ちのいい一年の締めくくりでした。

 

3月に開店。生々しい話になりますが、起業にはお金がかかります。今年一年、たくさんのお金が出ていきました。入ってくる間もなく、出いていく一方は、ちと辛い(笑)。 商売をよくご存知の方からは、起業一年目で利益が出るわけはない、と異口同音に言われます。仰るとおり…、です。

 

寒空に懐も寒いばかりですが、懐のちょっと横あたり、私のハートは何故かほっくほくです。旧知の知人、起業を機に出会った方々、全国、各国からのお客様、この一年になんと多くの方に出会ったことでしょう。両手の指を何度折っても足りません。そのお一人お一人からいただいた有形無形の支え。私のハートには、溢れんばかりの金銀財宝がざっくざくです。

 

人の宝。

 

たくさんのお金が出ていきましたが、それを補って余りあるたくさんの人の宝をいただきました。ありがたくって、ありがたくって、もうこのまま死んでも本望のような…。いえいえ、まだ始まったばかり。「しののめ寺町」を一人前の店にすることが、こうした皆様へのなによりのご恩返しのはず。まだまだ死ぬわけにはいきません。

 

日々の慌ただしさに紛れ、きちんとお礼を伝えられていないことと思います。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。

 

皆様、この一年、本当にありがとうございました。

クリスマスだから考える

季節のこと

2012年12月24日

クリスマスだから考える

どうして どうして どうして

苦しんでいる人のこと

悲しんでいる人のこと

 

うちの子供たちは、幼い頃、近くの教会の付属幼稚園に通っていました。これはクリスマスに園児たちが歌っていた歌です。保護者も参加しての礼拝で、初めて聞いたときの心震える感覚は今でも忘れられません。

ずいぶん昔のこと、記憶違いをしているかもしれませんが、私の心にはこの歌詞が刻みつけられています。有名なクリスマスソングはたくさんありますが、私が一番に浮かべるのはこの歌です。

クリスマスといえばイルミネーション、きらびやかな光は心浮き立つものです。けれど私は、光がきらびやかであればあるほど心落ち着かない。何故だか切なくなってしまうのです。自分がスポットライトを浴びる場所に縁がなかったせいでしょうか。根っからの貧乏性なのでしょうか。光の向こうの闇が気になります。

光のただ中にいると、どこまでも光が広がっているように思います。闇のただ中にいるとどこまでも闇に閉ざされているように思います。けれど光と闇は隣り合わせ。なのに、なかなか、そのことに気づけない。どちら側にいても…。

世の中が幸せに満ちて見えるクリスマス。せめて、この日一日くらいは、きらびやかな光が誰の上にもあまねく照らされたらどんなにいいでしょう。

光の中にあっても、すぐそばに闇がたたずむこと、

闇の中にあっても、すぐそばに光が差していること、

そのことに気づきながら暮らしたいと思っています。

さよちゃん

お友達のこと

2012年12月13日

かわいい絵本が届きました。作者はさよちゃん。私が学校を卒業後、勤めていた保険会社の同期だった女性です。

ずいぶん昔のことですが、当時、京都支店に同期入社の女子社員は20人ほど。そのなかでも、さよちゃんは、とびきりに溌剌とした可愛い女の子でした。そんなイメージとは裏腹に、入社後まもなく発病、退社を余儀なくされました。以来、病とは縁の切れない生活だったようです。

だったよう…というのも、いつの間にか、さよちゃんとは疎遠になってしまい、同期の誰も、さよちゃんの近況はわからないという状況になっていました。 子育ても一段落したこのごろ、同期会が復活。さよちゃんも最近になって結婚されたとのこと、同期会にも参加すると返事があった矢先、突然、亡くなってしまいました。絵本のあとがきを書いた数日後、絵本の完成目前のことです。

会社のパーティーで、スタンドマイクでキャンディーズを披露したさよちゃん。入社後初めての夏、同期で出かけた白浜の保養所で、はち切れんばかりのビキニ姿を披露したさよちゃん。食べることが大好きで、なんでも「おいしい、おいしい」と言って食べていたさよちゃん。思い出されるのは二十歳の頃のさよちゃんばかり。まさに絵本の表紙に描かれた、主人公ジュリアンそのままです。

自分が結婚、出産としていくなかで、さよちゃんと連絡を取るのは、はばかられるような気がしていました。けれど、今思うと、それは言い訳に過ぎず、水臭いだけでした。状況はそれぞれに違っていても、付き合っていくことは出来たはずです。年相応に老けたさよちゃんにも会いたかったと悔やまれます。

絵本のあとがきには、家族やまわりへの感謝の言葉が述べられ、その横には青々とした双葉の挿絵が描かれています。病という理不尽な運命の中にあっても、さよちゃんは、みずみずしい心を持ち続けたんだなぁと想像します。

 

   夢を持ち続けていたら

      きっといつか叶うから

 

あとがきの最後、こう締めくくられています。

さよちゃん、ありがとう。そして、ごめんなさい。

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