一恵ちゃん

お友達のこと

2014年07月08日

7月になりました。一年の半分が済んだことに。早いですねぇ、と書くところですが…。

店を始めて以来、時間の経過をとても長く感じるようになりました。うれしいことにつけ、大変なことにつけ、毎日、たくさんの新しいことが起こるせいでしょう。頭や心の整理がつく間もなく、現実が先へ先へと進んでいくようです。一ヶ月前、一週間前のことでさえ、ずいぶん昔に思えることも。

とりわけ先月は様々なことが盛りだくさんの月でした。おのずと心身ともに高い緊張状態にあったようです。6月に書いたブログ3編(店を構えるということ 中小企業家同友会 プロ意識)はタイトルだけ見ても相当に力が入っている様子が伺えます(笑)。

その6月最終の定休日は友人と会う約束になっていました。「しののめ寺町」の壁を飾る写真を撮ってくれているカメラマンの一恵ちゃんです(ミニミニギャラリー)。出会ったのは十数年前、偶然にも同い年、お互い主婦ながら主婦トークが苦手という共通点でたちまち意気投合して以来の仲です。

相当に疲れた様子の私に、心配した彼女が延期を提案してくれましたが、こういう時こそ会いたいと出かけて行きました。場所はアサヒビール大山崎山荘美術館、レトロな洋館と安藤忠雄氏による近代建築が見事に融合した、高台に建つ素敵な美術館です。ちょうど魅力的な展覧会が開催中でした。

鑑賞の合間に革張りのソファーにどさりと腰かけると、時間がゆったり流れていくよう。黒光りする太い柱や梁を見上げ、ええ感じやなぁ、と話し。窓のカットガラスが光を受けて虹色に輝くのを眺め、プリズムみたいやなぁ、と話し…。こんな風に心が動くのは久し振りのことでした。

バルコニーに出ると、眼下に広がるのどかな風景が遠くまで見渡せました。こんな遠くに視線をやるのは、いつ以来でしょう。ふだん何十センチ、せいぜい何メートルの範囲を見て暮らしているんだなぁ、としみじみ。

見上げると、梅雨の晴れ間の青空に、雲がぽっかりふたつ浮かんでいました。2匹のネズミが追っかけっこしているみたい。見れば見るほど生きているようで、かわいいこと、かわいいこと。雲を眺めて大盛り上がりしてしまいました。そういえば二人で出かけると、よく空を見上げては、おもしろい形の雲を見つけたものです。(ブログめぐる季節のなかで

いつも五感を研ぎ澄ませて暮らしている彼女。私がふだんフル稼働しているのとは、また違った五感を呼び覚ましてくれたようです。なにもかもが新鮮に思えた休日でした。胃の調子が悪くて、せっかくの美味しいカフェごはんを食べきれなかったのだけが心残りでしたが…。

その夜、彼女から「この雲を見て、かわいい! かわいい! って感動していた大好きな友へ」と写真を添付したメールが届きました。「昔のように、いつでも空を見上げてね♪ 気持ちが元気になるよ」とコメントを添えて。

友達って、ありがたい…

翌朝、体調も回復、朝食を美味しくいただけました。自宅で休養するより、心も体もずっとリフレッシュできたようです。

生活が激変した私を、冷や冷やしながら見守っているという彼女。かけてくれる言葉はいつも「大丈夫?」です。出来ることはなんでもするよという言葉に甘えて、最近ではポストカードまで作ってもらいました。心配をかけ、頼ってばかりの私です。

まだまだ安心してもらえそうにありませんが、せめて空を見上げて、心のバランスだけは保っていこう。かわいい雲の写真を眺めながら、そう誓った6月の終わりでした。

プロ意識

店のこと

2014年06月26日

「意識」ということについて考えるこのごろです。

 

店を始めて以来、事業をされている方にお会いする機会が増えました。中小企業の社長さん、一人で活動している方、世代、性別、業種などさまざま。こんなにも多様な働き方があるのかと驚くばかりです。

 

規模にかかわらず、自分で事業を興し、継続していくことは容易なことではありません。絶えず学び、チャレンジし、また学び…。公私にわたり常に高い意識を持って生きておられる様子が、お話の端々、あるいは立ち姿から伺えます。

 

これぞ、プロ意識。

 

開店を機に急きょ家業に携わることになった私は、商売は全く素人からのスタートでした。「ほぼ専業主婦」から自称「にわか女将」へ。どちらかといえば裏方仕事が性に合うタイプだったのが、必要に迫られ表舞台に出るようになった次第です。(ブログポテトなじかん

 

開店後、初めて参加した異業種交流会でのことを今でもよく思い出します。サンプル用に配るじゃこ山椒を抱え、決死の思いで出かけて行きました(笑)。慣れない会場の雰囲気にかなり緊張していたのを憶えています。

 

全員の自己紹介後、自社のイベントや新商品などを紹介できるPRタイムが設けられており、ここで「はい!」と手を挙げるはずでした。が…、挙げられませんでした。側にいた方が察して「PRするんやろ? はよ、行かな」と促してくださり、ようやく立ち上がった始末。広報担当がなんという体たらく、恥ずかしい限りです。

 

 思えば私の頼りなさを見かねた方たちが、うしろから背中を押し、前から手を引いて、ここまで導いて来て下さったように思います。

 

今月から中小企業家同友会に入会し(ブログ中小企業家同友会)ますます多くの事業主の方にお会いする機会に恵まれています。なんて意識の高い方たちがいらっしゃるのかと驚くと同時に、自分はまだまだ意識が低いなぁと反省させられることばかり。今、ちょっと軽いショック状態です。(笑)

 

「ほぼ専業主婦」から「にわか女将」へというのは、軽い洒落のつもりの肩書き(?)ですが、正直のところ体のいい言い訳に使っている面も否めません。だから大目に見て、みたいな…。開店から2年3カ月、そんな甘えもそろそろ通用しない時期です。

 

プロ意識を持たなければ。

 

しきりにそんな声が聞こえてきます。声の主は私自身のもよう。

 

意識の高い方に混じると、自ずと高みに引き上げられていくことを体現したような。身の引き締まる思いの近ごろの私であります。

 

ちなみに愛着ある「にわか女将」の肩書はこのままで。よろしくお願いします。

中小企業家同友会

店のこと

2014年06月15日

店を始めて2年と3カ月が過ぎました。一変した生活にも少しは慣れてきたでしょうか。同時に商売のことがわかってきたかというと、そちらの方は全くもってそうはいきません。知るほどに難しさを痛感するばかりです。

学校に通っていた頃のこと。試験前ろくに勉強しないうちは、なんとかなるさと案外のんきなものでした。いざ勉強を始めた途端、自分の無知さに愕然として焦りまくったりして。大人になった今も、そんなことを繰り返しているようです。

開店前に京都府主催の「起業家セミナー」を受講し、今も大きな助けになっていることは、このブログでも何度か書いています(ブログ叩けよ、さらば開かれん ブログJupiter。そのとき学んだのは入門編、ここにきて改めてきちんと勉強したいと思うようになりました。

事業を営んでいくということ、そのうえで切り離せない自分自身のこと、目先のこと、将来のこと…、課題は山積みです。内容は初級から中級あたりに進んだでしょうか。

そうしたところ、やはり「起業家セミナー」でお世話になった先生から「中小企業家同友会」を紹介されました。全国各都道府県にあり、このブログを読んでくださっている方の中にも会員さんがいらっしゃるかもしれません。今、私が求めていることがそこにあるような。そう思い、今月、入会させていただきました。

店が繁盛すること。自分が成長していくこと。取り巻くすべてがよくなっていくこと。次代につなげていけること…。私の切なる願いです。

難しいことです。けれど「ほぼ専業主婦」だった頃、漠然と模索を続けていたことを思うと、明確な命題を持てたことはむしろ幸せなことに思えます。

たくさんの先輩方から学びながら、願いを実現させていきたいと思っています。取り入れた栄養を吸収してエネルギーに変えていくように。眠っていた細胞が目覚めて輝き始めるように。

そのためにはまず、どんなこともしなやかに受け入れられる私であれますように。

入会を機に希望に燃えている私であります(笑)。これからの経緯をブログでもご報告していけたらと思っています。

店を構えるということ

店のこと

2014年06月01日

ここ寺町に店を構えて二年少し経ちました。前回のブログ夢見通りの人々では、その喜びを綴りました。多くの方に読んでいただき感激しております。

 

一方で「店を構える」というのは、なんと大変なことかとも痛感します。

 

定休日は毎週水曜日と第二木曜日、あと夏季と年末年始の年二回、休みをいただいています。昨年、「しののめ」の創業者である義母の告別式の日は臨時休業いたしましたが(ブログ願わくば花の下にて春死なん)、あとは休むことなく今日に至っています。

 

健康であること、大きなトラブルが起こらないこと、有形無形のあらゆることが整ってはじめて店を開けることが出来ます。当たり前といえば当たり前のことですが、決して当たり前とはいかないことです。

 

一日一日が私には奇跡の連続に思えます。

 

朝、目覚めて、自宅から店に向かい、店の前に立つ時、あぁ今日も無事開けられたと心から安堵します。

 

不思議なもので、開店時間になると、店が自ら呼吸を始める気がします。お客様がいらっしゃらないと、どこか寂しげ。お客様で賑わうと、たちまち躍動を始める。まさに生きもののようです。

 

思いもかけないお客様の来訪に驚くこともしばしばです。先月のお祭りの日には、うちに置いている座布団を手掛けられたプロダクトデザイナーさんが、偶然に立ち寄ってくださいました。素敵な出会いは、座布団が招いてくれた幸運に違いないと思っています。

 

つい先日は、訳あって挨拶できないまま別れた知人が、遠方から訪ねてきてくださいました。人づてにうちの店のことを聞かれたとのこと。心のつかえが下りる感動の再会、十年ぶりのことでした。

 

なにかに困っていると、困ったところ困ったところに手を差し伸べる方が来てくださいます。私の心を見透かしたように、救いとなる言葉を持って。あぁ神様が遣わしてくださったんだなぁと思います。

 

偶然、必然ないまぜにした、こうした出会いが、毎日、この小さな店のなかで繰り広げられています。これもまた奇跡の連続です。

 

竹内まりやさんの楽曲に「毎日がスペシャル」という歌がありますが、私には「毎日がミラクル」。こんな驚きの中で暮らせる人生ってあるだろうかと、時に信じられなくなることも。 

 

一軒の店を構えるというのは確かに大変なことですが、店を構えなければ味わえない喜びがその何倍も。今風に言うと…

 

「リアル店舗」で「リア充(リアル充実)」

 

流行り言葉、省略言葉は好きではありませんが、これは言い得て妙な表現、なかなかに実感できる言葉です。(笑)

 

開店以来二年余、自分たちで作り、支えてきたと思っていたこの店、実はお客様が息を吹き込み、支えてきてくださったのではなかったか。そんなことを思うこのごろです。

 

閉店後、一日の無事に感謝します。店も静かに眠りに就くよう。静かに戸を閉め、鍵をかけ、店をあとにします。

 

今年は早くも厳しい暑さとなりました。体調管理に気を付けて夏を乗り切り、年末まで変わらず店を開けられますように。心から願った六月初日の朝でした。

夢見通りの人々

お祭りのこと

2014年05月25日

店を開いてからはすっかり時間がなくなりましたが、もともと本を読むことが大好き。願わくば日がな一日、本を読んで暮らしたいと思うくらいです。

数年前、宮本輝さんの「泥の河」に感動し、立て続けに何作品か読んだことが。そのなかに「夢見通りの人々」という作品がありました。

夢見通りに住む人々の人情味あふれる暮らし、心の機微があたたかい筆致で描かれています。詳しいストーリーは忘れてしまいましたが、ほのぼのとした読後感がタイトルの「夢見通りの人々」という心地いい音の響きと相まって、今も忘れ難い一冊です。

もう二年半ほど前のことになりますが、店を開くにあたって物件を探して、京都の通りを東西に南北に歩き回りました。そんななか見つけたのが寺町通りの小さな物件です。

程よい広さの車道を譲り合うように行き交う車。両側に青々と茂る街路樹。整備された歩道をそぞろ歩くひと。
味わい深い店が軒を連ねた趣ある商店街。そこに住まうひとの暮らしぶり。観光で訪れるひとの華やぎ。そうしたすべてがうまく融合して、えもいわれぬ風情を醸している通り。なんて素敵な街。

「夢見通りの人々」…、ふと、そんな言葉が心に浮かびました。

一目惚れしたこの物件が、今の店です。あれよあれよという間に契約に至ったのは、なにかのお導きとしか思えない幸運でした。(ブログ2011年11月28日

改装中に足しげく通ううちにますます好きになり、開店後はさらにさらに好きになり…。好き過ぎて、この通りに店を構えていることが信じられなくなることがあります。長い長い夢を見ているんじゃないかと。

「夢見通りの人々」…、それは私自身かも。

店の前で置き看板を拭いていたりすると、うしろで「こんにちは」の声。振り向くと、近所のお店の方だったり、馴染みのお客様だったり。慌てて「こんにちは」と返事をする私…。あぁ、本当にこの通りに店を構えているんだ、夢じゃないんだ、と実感する瞬間です。

先週末はこのあたりの氏神様、下御霊神社のお祭でした。縁日が並び、多くのひとで賑わう通りを、長い巡行を終えたお神輿が夕方遅く神社に戻ってきました。

「夢見通りの人々」

担ぎ手さんたちのうしろ姿を見送りながら、今年もまた目頭が熱くなった私でした。(ブログお祭りの夜に

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