廃屋

素敵な女性

2012年04月25日

店にいる時間の方が長くなり、どうしても家のことは後回しになります。

今日は定休日、でもやっぱり、店のことで一日過ぎていきました。

辛うじて午前中、家の用事をしたのですが…。

あれあれ、拭けば取れていたはずの汚れがこびりついて取れないは、強いはずのサボテンがぐじゅぐじゅになっているは、家中がなんだか不機嫌です。

愛人宅に入り浸って、久々に本宅に帰ると、家族がみんなそっぽを向いている。

「どちらも愛しているんだよ」と言い訳にならない本音を漏らす男性の気持ちがわかるような…。

そんななか、ほったらかしにしていた鉢植えからこんな見事な花が。

少し救われました。

家事労働は世の中に全く認知されていませんが、まさに真剣勝負、隙を見せたらたちまち、やられます。

前回に続き、私の好きな茨木のり子の詩を一つ。タイトルは「廃屋」です。

 

人が

棲まなくなると

家は

たちまちに蚕食される

何者かの手によって

待ってました! とばかりに

 

つるばらは伸び放題

樹々はふてくされて いやらしく繁茂

ふしぎなことに柱さえ はや投げの表情だ

頑丈そうにみえた木戸 ひきちぎられ

あっというまに草ぼうぼう 温気にむれ

魑魅魍魎をひきつれて

何者かの手荒く占拠する気配

 

戸さえなく

吹きさらしの

囲炉裏の在りかのみ それと知られる

山中の廃居

ゆくりなく ゆきあたり 寒気だつ

波の底にかつての関所跡を見てしまったときのように

 

人が

家に

棲む

それは絶えず何者かと

果敢に闘っていることかもしれぬ

 

家事労働を侮るなかれ。

自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ 

素敵な女性

2012年04月22日

開店してから一ヶ月が経ちました。

少しずつ整ってきたところもありますが、大半はまだまだ模索中です。

休日もあれやこれや奔走し、休日にはなりません。起業したが最後、仕事とプライベートの切り分けは難しいのでしょう。家族でやっていると、なおさらです。

「静かなところで、一人、頭を空っぽにして、のんびりしたいなぁ~」

そんな言葉が口をつきそうに…。

弱音を吐きたくなったとき、心に浮かぶ言葉があります。

自分の感受性くらい  自分で守れ  ばかものよ

詩人 茨木のり子の詩「自分の感受性くらい」の一節です。

かかりつけの接骨院の待合室の本棚で偶然見つけ、以来、私のバイブルになりました。自分を鼓舞するために、全文、書いてみます。

 

ぱさぱさに乾いていく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて

 

気難しくなってきたのを

友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

 

苛立つのを

近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし

 

初心消えかかるのを

暮らしのせいにはするな

そもそもが ひよわな志にすぎなかった

 

駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

 

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ

 

ぐうの音も出ません。 

佐藤初女さんのこと

素敵な女性

2012年03月29日

ブログを読んだ知人が口々に、「体調、大丈夫?」と聞いてくれます。

ご心配をおかけし申し訳ありません。

忙しさとプレッシャーで、食事がおろそかになっていたせいもあるのでしょう。

生活が少し落ち着いてきたこのごろ、手抜きながらも三食きちんと食べるようになり、体力気力ともに回復してきました。

改めて、食事の大切さを痛感しています。

そこで、数日前のブログ「さよなら 寝台特急 日本海」で触れた佐藤初女さんのことを是非書かねばと思い出しました。

初女さんは弘前在住の90歳(多分)の女性です。

もとは染色を指導されていたのですが、その人柄を頼って多くの人が悩みの相談に訪れるようになりました。そのたびに初女さんはただ話に耳を傾け、ありあわせの食材で料理を作り、食事を共にされていたようです。

険しい表情だった人が、最後には穏やかな表情になって帰っていかれる、その様を見て、「食は命」と実感されるに至ります。

評判が評判を呼び、自宅では手狭になり、岩木山の麓の雄大な自然の中に、宿泊施設「森のイスキア」を建てられ、数名のスタッフの方と共に、全国からやってくるお客様をもてなされています。

どうしても初女さんの作られたお料理を食べてみたくて、3年前に訪れました。

そのときいただいた心づくしのお料理は本当に美味しく、今でも忘れ難い体験です。

 

「食が進むわ」と、お客様がじゃこ山椒を買い求めてくださるのを見るにつけ、私も食にかかわる仕事に就いたのだと実感する毎日です。初女さんのようにはいきませんが、私もお客様との語らいを大切に、ささやかながら豊かな食を提供するお手伝いを出来たらと思います。

「森のイスキア」の昼食

おむすびは初女さんの代名詞

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