しののめ寺町 ホームページリニューアル

店のこと

2020年02月22日

気づいていただいているでしょうか? 「しののめ寺町」のホームページをリニューアルしました。

実はこれまでのは自作サイトで手作りしてきたものです。慣れないことゆえ大変ではありましたが、もの作りが好きな私には楽しい作業で、結構気に入っていました。ブログIT関係のひとびと)(ブログ鏡よ 鏡…

が、ホームページの目的はあくまでも、広く、わかりやすく、便利に、活用していただくことです。ITの世界はとにかく複雑で難解。あれこれ試行錯誤し、がんばってきましたが、素人の力の限界を痛感。

Googleアナリティクスに降参!

わかる方にはわかっていただけるでしょうか? って、私もよくわかっていませんが(笑)。

ともあれ、ついに白旗を挙げた次第。「しののめ寺町」のさらなる発展を願い、思い切ってプロの方に制作を依頼することにしました。お願いしたのは以前からよく存じ上げているメディアクリエイツさん。代表もスタッフも女性の会社です。

お客様に私たちの「店」と「商品」をご理解いただき、ご来店に導く。あるいはオンラインショップに導く。広く、わかりやすく、便利に…。そのためにはどうしたらいいか。話し合いを重ね、進めてまいりました。

見た目はもとより様々な内部の構築は、さすがプロ! こうした部分が、素人の私ではできないことでした。女性ならではのきめ細かな視点も加わり、あたたかみのある「しののめ寺町」らしいホームぺージが出来上がりました。

思えば開店前。ホームページの制作はどうしたらいいものかと思案していた時に、IT関係の知人から勧められたのが自作することでした。便利なサイトがあると教えてもらい、kyoto-jako.jpという立派なドメインを決めてもらい、恐る恐る始めたのが8年前です。

デジカメで写真を撮り、サイトで準備されたひな型に画像や文章をはめこみ。ああでもない、こうでもないと四苦八苦。まるで子供が真っ白な画用紙に絵を描いていくようなスタートでした。

少しずつコツをつかみながらも、さらによくするにはどうしたらいいかと模索しつつ…。これまでに膨大な時間をホームページと向き合ってきました。それはまさに「しののめ寺町」と向き合う時間。ひいては自分自身と向き合う時間でした。

特にこのブログ「にわか女将の走り書き」では、その時々の思いを正直に書いてきました。一つ書き上げるたびに、自分の思いがまた一つ吹き込まれ…。

ホームページの更新をするたびに、自分自身も更新されていくような。自分自身を更新するたびに、ホームページも更新されていくような。もはやホームぺージは私そのものだったかもしれません。

はじめからプロに頼んでいれば、もっと楽だったでしょう。けれどホームページと懸命に向き合ってきた過程は、私にかけがえのないものを与えてくれたと思っています。

いよいよプロにお願いする段になっても、自分で作ってきた経験があるからこそ、足りない部分、強化したい部分。残したい部分。そうした部分を明白にお伝えすることができたように思います。

新ホームページの完成を楽しみにしながら、一方で、拙くも愛着ある自作ホームページと別れるのは、まるで分身と切り離されるような寂しさでした。けれど最後は、やるだけやり切った感でサヨナラすることができました。

旧ホームページ、ありがとう! 新ホームページ、よろしく! 今はその思いでいっぱいです。

今回の一番の変化はオンラインショップを充実させたことです。遠方のお客様。このところの夏の猛暑で外出を控えられるお客様。体調がすぐれず足が遠のいて、と仰るお客様。まだ「しののめ寺町」をご存じいただいていない未知のお客様…。

オンラインショップでのみ、クレジット決済できるよう手続き中です。ぜひ活用していただけたらと願っております。

これからもメディアクリエイツさんにサポートをお願いしながら、常に新しい情報を発信し、愛着あるホームページに育てていきたいと思っております。どうぞ、時々覗きに来ていただき、ご意見などお聞かせくださるとうれしいです。

新しいホームページ、何卒よろしくお願い申し上げます!

令和

店のこと

2019年12月31日

今年も残り一日となりました。皆様にとって、どんな一年でしたでしょうか?

地球規模での自然環境の変化に、消費税引き上げに伴う諸々の経済環境の変化(ブログ軽減税率制度のこと)。のちのち語り継がれるほどの、大きな分岐点となる激変の一年だったのではないかと思います。

時代の変化のスピードが年々増していくように感じるのは、年齢のせいでしょうか。あるいは、店を始めたせいもあるかもしれません。個人として暮らしていた時よりも、敏感にならざるを得ない立場になったことを痛感する数年です。

にもかかわらず、そもそも適応能力の低い私。猛スピードで変化していく時代に適応していくことは、なかなか大変でして。例年にも増して厳しい年となりました。

この一年への思いは人それぞれかと思いますが、誰にとっても大きな出来事は、やはり「令和」という新しい時代の幕開けだったのではないでしょうか。こんな私にとっても、なにかしら希望をつなげる思いのする明るい出来事でした。

皇室や元号制度についてはいろいろなご意見があるところかと思います。私には難しいことはわかりません。ただ、平成時代の天皇皇后両陛下のお姿をテレビで拝見した時に味わう、えもいわれぬ安心感。特に美智子様の慈悲深い眼差しには、心打たれるものがありました。

一方で、そのあとを引き継がれる雅子様のプレッシャーはいかばかりか、と案じることも…。

さかのぼって思い起こすと、現在の天皇陛下のお妃選びは難航されたもようでした。そんななか、当時、外交官だった雅子様が候補に。

まさに才色兼備。お洒落なファッションに身を包み、追いかけるマスコミをかわしながら颯爽と歩かれる姿はとても印象的でした。

将来の皇后になられる方はこれくらいじゃないとダメなんだろうな。こういう方なら公務もうまく果たしていかれるんだろうな。なんて思いつつ…。

こういう方であればなお、自由な立場で活躍される方がいいんじゃないか。その方がご自分らしく輝いていられるんじゃないか、とも思ったり。

私の要らぬおせっかいをよそに(笑)、現在の天皇陛下の「雅子さんのことは私が全力でお守りしますから」というプロポーズのお言葉に、ご結婚を決意されたとのこと。まさに世紀のラブロマンスだなぁと感動したものです。

キャリアウーマンから皇室へ。そのお暮らしの変化は、想像する由もありません。ただ、皇室の装いに身を包み、つつましやかにテレビに映られるお姿を拝見するたびに、独身時代の颯爽と歩かれていたかつての映像が浮かんだものでした。

そうこうするうちに、体調不良の報道。環境の変化への適応が、想像以上に難しかったことが察せられます。思いのほか長きにわたることとなりました。誰にとっても辛いことですが、お立場がお立場。この間の苦しみはいかばかりだったことでしょう。

その長いトンネルを抜けられ、「令和」の幕開けと共に元気なお姿を拝見できたことは、なによりうれしいことでした。

久しぶりに拝見する晴れやかな笑顔の雅子様。内から放たれる輝き。風格あるたたずまい…。もともと美しい方ではありますが、これまでとは違った美しさに、私には思えました。

それは覚悟を決めた方の美しさなのだと思います。苦しい時期を経られたからこそ辿り着かれた境地。名実ともに皇后になられたんだなぁ。そう確信させられるお姿でした。

かつては違和感があった皇室の装いも、今ではとても似合っておられるように感じるから不思議です。

この間、プロポーズの言葉通りに全力で守って来られた天皇陛下。その晴れやかな笑顔が、いつもお隣にあったのもまたうれしいことでした。

皇后として、新たな時代を切り開いていく力を持っておられるであろう雅子様。くれぐれも無理されることなく、健康で公務を遂行していかれることを願ってやみません。

そして願わくば…。新たな皇室ファッションを切り拓き、ますます美しさに磨きをかけていただきたいなぁ。かつてのダイアナ妃のように。というのは私の勝手な願いです。マスコミのバッシングの的にならないことをも併せて願いつつ。

こうした雅子様のお姿を拝見しながら、覚悟、というものについて考えた一年でもありました。

雅子様には遠く及びませんが、私も人生の局面、局面で、それなりの覚悟はしてきたんだと思います。ことに店を始めるにあたっては、強い覚悟を決めたはずなのですが…。まだまだ覚悟が足りないと、不甲斐なく思うことばかりです。

その覚悟というもの、どうやって生まれてくるものなのかなぁ、と考えるに…。ひらめきのように、突然、生まれるものでなく、経験を積む中で自ずと培われていくものなのかもしれない。そう思い至りました。

まずは経験を積むこと。いいことであれ、そうでないことであれ。その経験こそが覚悟を強いものにしていってくれる。そう思えば、山あり谷ありの人生もまた楽し!

そんなことを思う令和元年の大晦日です。

今年も一年の営業を無事に終えることができました。ひとえに皆様のご支援、ご愛顧のお蔭です。ありがとうございます。新年は1月6日からとなります。皆様、良いお年をお迎えください。

軽減税率制度のこと

店のこと

2019年11月29日

今回は気の重いタイトルとなりました。お金のことはさっぱり苦手な私が、経済のことなど語れるわけはないのですが、触れないわけにもいかない。こんな考えの人間もいるのかと一笑に付していただければ、という覚悟で書いてみます。

10月から消費税が10%に引き上げられました。一方で、持ち帰り食品や新聞代など一部のものは8%に据え置き。生活していくうえで不可欠のものを据え置くことで、低所得の方の負担感を軽減することが目的とか。初めての軽減税率制度導入です。

はじめに聞いたときは、なるほどなぁと思わないでもありませんでした。うちは持ち帰り食品に該当するので、ちょっと他人事のように聞いていたかもしれません。

それが実施時期が近づくにつれ、そんな単純な話ではないことがわかってきます。というより、かなり複雑な話。

持ち帰り食品は8%に据え置きと言われても、持ち帰り食品を作り、販売するためにかかる経費は軒並み10%に上がります。家賃、お酒、包装資材、消耗品一式…。これもかぁ、あれもかぁ、という感じ。今まで通りの価格では、当然、収益は減ります。

まわりのお店を見ると、やむなく本体価格を値上げされるところあり。お店がかぶって据え置かれるところあり。いずれにしても苦渋の選択です。

実施から一ヶ月少し様子を見ましたが、値上げやむなしということで、うちも11月11日から価格を改定させていただきました。

二種類の税率を扱われるお店については、レジの買い替えや、煩雑な対応に追われられたもよう。そのための公的な助成金が準備されていたようですが、その費用と手間はいかばかりだっだでしょう。

私なぞが今さらあれこれ言っても仕方ないことですが、そもそも軽減税率制度って意味があったのでしょうか。私には混乱を招いただけに思えてなりません。

何年か前の人気ドラマで、主人公の刑事が放つ「事件は現場で起きているんだよ!」という名セリフがありましたが、まさにそんな印象。政策に携わる方たちは頭脳明晰なことと思うのですが、失礼ながら、現場の事情については想像が及ばれていないような。違っていたらスミマセン。

併せて実施されたのがポイント還元制度なるもの。カード払いにすると、来年6月までポイントが還元されるというシステム。消費税値上がり分以上のお得感で消費の冷え込みを回避し、かつ将来のキャッシュレス化に向けての道筋を作るための施策なのだとか。

この制度を駆使すると、どんどんポイントが溜まって得をするらしく、「ポイ活」という新語も生まれました。ワイドショーでは達人たちのポイ活ぶりが紹介されていますが、世の中にはまめな人がいるものだと感心するばかりです。

時期を同じくして、〇〇ペイというのもたくさん出現しました。さらなる(!)お得感を謳った宣伝と勧誘の猛攻撃に、店としても消費者としても、その選択に迷うばかりです。

ここ数か月の購買にまつわる世の中の変化は目まぐるしく、これに乗れた人はお祭り騒ぎのような。乗れなかった人は置いてきぼりを食ったような。弱者に優しいはずの軽減税率制度が、実は弱者にちっとも優しくないように思えるのは私だけでしょうか…。

以前は現金が一番お得でした。そりゃあそうですね。あちこちで手間や手数料がかかることなく、直接やり取りをして無駄がない。それがあっという間に逆転。現金で払うと損なんて、不思議な時代になったものだなぁと思います。

お客様の中に、ご近所で古くから営まれているお店の大奥様がいらっしゃます。88歳にしてなお現役。お商売や日々の暮らしの知恵をいつも教えていただき、尊敬申し上げている女性のお一人です。

大きな金額がやり取りされるお商売ですが、掛け売り、掛け買いが慣例のなか、こちらはすべて現金とのこと。経理も担当されていて、夜の帳面つけは日課だそうですが、一日の収支は毎日ゼロ。なんのリスクも負わない明朗会計は、お見事と言うしかありません。

なかなか真似できることではありませんが、この商習慣、生活スタイルには、学ぶべきことがたくさん含まれているなぁと感心してしまいます。

各社、各店の方針で、値引きやキャンペーンをされることは大歓迎です。が、それが国の施策で行われ、購買形態が操作されるというのはどうなんでしょう。

個人の考えで、クレジットカードやポイントカードは作らないという方もあるでしょう。そうしたものは使いこなせないという方もあるでしょう。今回の施策は、お得感があまねく行き渡らないだけでなく、恩恵が届くべき人にこそ届いていないという気がしてなりません。

店には店で事情があり、大きな会社と小さな店では、その事情も異なります。

見えるリスク、まだ見えないリスクを推し量り、溢れる情報を精査し、自店にとって最適なものを選び出す…。なかなかに難しい作業です。

うちでも「カード使えますか?」と尋ねられるお客様の割合が一気に増えました。苦慮するところでしたが、今しばらく静観するということで、店頭での各種カードの導入は見送らせていただきました。 

そんななか、しきりに思い出される記憶がひとつ…。  

京都の夏の風物詩の一つに、五条坂の陶器市があります。暑いさ中ながら、私も以前は楽しみに出かけて行ったものです。一つ一つ吟味して買い求めたものは、安価なものばかりですが、今でもその時の思い出と共に大切に使っています。

ある年、若い作家さんのテントで小さな花器を見つけました。モダンながら実用性に富んだデザインは一輪挿しにぴったり。私がしげしげと眺めているのに気づいた作家さんが、シンプルに見えて、とても手間がかかったデザインであることを熱く語ってくれました。

彼の話を聞いてさらに花器の魅力が増し、それにしては抑えられた価格であることがわかり、買うことに決めました。

京都では珍しいことですが、この陶器市では値切るのがお約束で、そのやり取りも楽しみのうちです。が、その時は「値切るのやめときますね」と言って、値札に書かれた金額をそのまま支払いました。

そもそも安価なもの、偉そうに言うことでもないのですが(笑)、なにかしら自分の思いを伝えたかったのでしょう。それは、作家さんが金額で表した価値を、そのままの価値としてしっかり受け取ったよ、という私の意思表示だったように思います。値切ることは、彼の価値をも値切るように思えたのです。

気の良さそうな彼は、値切ればいくらかまけてくれたかもしれません。けれど、少しばかりの得をするよりも、ずっと満足感のある買い物でした。今でもこの花器に花を活けるたびに、その時の彼の誇らしげな表情や、彼の仕事ぶりも含めて購入を決めた自分の思いが蘇ります。

物を買うという行動は、とても個人的で、シンプルで、血の通い合ったもの。物を買うって、本来こういうものなんじゃないか…。

この記憶は、改めてそんなことを思い知らせてくれているように思います。 

お客様の利便性を計れていないのが実情ですが、それでも選んでいただける商品、店であれるように努力してまいります。時代遅れかとは存じますが、寛大なご理解を賜りますよう今後ともよろしくお願い申し上げます。

明日があるさ

店のこと

2019年04月16日

4月、新年度が始まりました。この春、門出を迎えられたお客様もあることと思います。おめでとうございます。

特別な門出というわけではなくても、春はなにかと区切りの季節。会社で、地域で、「総会」というものが開かれる時期でもあります。

「しののめ寺町」がお世話になっている「中小企業家同友会」でも、各支部の総会が3月に行われました。中小の企業や商店、一人で事業をされている方などが集まり、健全な経営、社会貢献などを目指して共に研鑽を積んでいこうという会。縁あって、5年前に入会させていただきました(ブログ中小企業家同友会)。

「しののめ寺町」の開店は2012年の3月16日。お蔭様で今年、7周年を迎えました。毎年3月の末に行われる総会は、ちょうど周年記念の直後です。

一年の事業と会計の報告。次年度の計画と予算。反省を踏まえた展望…。同友会の総会は、自分の店と重ね合わせて考える、よい機会でもあります。こちらは同友会のようにスマートにはいきませんが(汗)。

議事終了後は懇親会へと移ります。良き経営者は、遊び心も豊かなもよう。私が所属する中京支部では、工夫を凝らしたアトラクションが、毎年のお楽しみになっています。昨年はポールダンスに度肝を抜かれました。

今年は懐かしいチンドン屋さんの登場に、会場が一気に和やかな雰囲気となりました。傘回しの芸は、人が回る、お金が回る…。ということで、こうした会にふさわしい、おめでた感いっぱいの出し物でした。

最後はアコーディオンの伴奏で「明日があるさ」の大合唱。その昔、坂本九さんが歌われた名曲です。最近ではリメイクというのでしょうか、ウルフルズや吉本の芸人さんたちが歌われヒットしました。いい曲は、いつの時代にも歌い継がれていくものなのですね。

明日があるさ、明日がある

若い僕には夢がある~♪ 

シンプルな歌詞が心にストレートに響きます。

総会のあった日は、春本番を思わせる暖かい日でしたが、実は春が苦手な私(ブログ私が苦手だったもの 春)。「成長」をイメージする季節に、なんにも変わることなく、ここにいるだけの自分に焦燥感を募らせ、毎年、置いてきぼり感にさいなまれます。

そんな私ですが、今年の総会中、ふと思いました。店を始めて7年の年月を重ね、そして8年目を展望している自分が、ここにいる。春が来てもなんにも変らないと思っていたけれど、私は私のペースで前へ進んでいるんじゃないか…。

いろんなことがある毎日。いいこともあれば、そうでないことも。それでも明日がある。そう思うだけで、また前に進んでいく勇気が湧いてくる気がします。そんな「明日」が重なって、また一年。

明日がある、明日がある、明日があるさ~♪

リフレインを聴きながら、あぁ、来年もこの総会の場に、笑顔で参加している私がいますように。そう心の中で祈りました。そのためには心身共に健康で、店を存続させていなければなりません。

よく学び、よく遊び、そして目指せ黒字経営!

総会のたびに心に誓うモットーです。新年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

なんくるないさー

店のこと

2019年01月26日

新年のご挨拶がすっかり遅くなってしまいました。皆様、どのようなお正月を過ごされましたでしょう? 九州地方では新年早々に地震があったもよう。被害に遭われたお客様はなかったでしょうか? 今年こそ災害のない一年になることを祈るばかりです。

私はと言いますと、ちょっと長めのお休みをいただいたお蔭で、ゆっくりとした時間を過ごすことができました。ありがとうございます。といって優雅なことなどなにもなく、元日から家の整理なぞ始めてしまいました。「しののめ寺町」開店と共にライフスタイルが変わったのに、家の中の収納は「ほぼ専業主婦」時代と変わらぬまま。時間のない身には、使い勝手が悪くなってきていました。ああでもない、こうでもないと、1階と2階を何度も往復しては、引き出しの中の物をあちらへ、こちらへ…。

お正月からなにやってるんだかと呆れながらも、ぬくぬくとした幸せな気持ち…。気ままに過ごせる時間と空間というのは、それだけで、なんとありがたいものでしょう。一日の大半を店で過ごす生活になり、身に沁みて思うようになったことです。そんな自分の一年の労をねぎらいつつ、心からの安息を味わう贅沢な時間となりました。

毎年のことながら、昨年もいろんなことがありました。店をやっていくには、まずは心身の健康が第一です。が、生身の体、いつもいつも万全というわけにはいきません。時に、明日、店を開けられるだろうかと不安になることも。健康面のみならず、次々出てくる課題に途方に暮れてしまうことも。そんな時、決まって口をついて出てくる言葉があります。

「なんくるないさー」。

店を始める前、沖縄の宮古島に一人出かけたことがあります(ブログ宮古島 農家民宿 津嘉山荘)。以来、宮古島を第二の故郷のように思っている私(ブログ月は満ち 欠け また満ちていく)。しんどいなぁと思う時、宮古島の美しい海を思い出します。こんな時、おおらかな沖縄の人は、どんな風に声を掛けてくれるだろう。なんて想像しているうちに、いつからか自分を励ます言葉になりました。

なんとかなるさ、って感じでしょうか。心の中で唱えるだけでは飽き足らず、聞きかじりの沖縄のイントネーションで、声に出して言うこともあります。「なんくるないさー」。しんどければしんどいほど、大きな声で「なんくるないさー」。空に向かって「なんくるないさー」。知らない人が見たら、かなり怪しい光景です(笑)。

昨年は何度「なんくるないさー」と口にしたことでしょう。繰り返し言っているうちに、本当になんとかなるような気がして、そうして一日、一日をやり過ごし、気づけば最終日にたどり着いていた…。そんな一年でした。

なんとかなったのかどうかはわかりませんが、とにもかくにも無事に一年を終えられたこと。お正月から家の整理などしながらも、幸せな気持ちの自分がいたこと。それが私なりの「なんくるないさー」だったのだと思います。

ブログを書くにあたり、念のため「なんくるないさー」の意味を調べてみました。そこには辛苦を経験された沖縄の方たちの歴史があること。命があることに感謝し、たとえ報われなくても希望を持って前に進んでいこう。そんな思いのこもった言葉であることを知りました。

私は言葉には魂が宿っていると信じています。言霊(ことだま)です。「なんくるないさー」と口にする時に、体の中から湧いてくるエネルギー。それは辛苦を経験された沖縄の方たちの、魂のこもった言葉だからこそだったのだと、改めて思い知った次第です。

最終日、仕事を終えたあと、心からの安堵と解放感をかみしめながら、ちょっと街中に出てみました。立ち寄った店で、たまたまビートルズの「Let  it  be (レットイットビー)」が流れていました。「なすがまま、あるがまま」という意味でしょうか。「Let  it  be Let  it  be Let  it  be Let  it  be…」。お馴染みのリフレインに聴き入りながら、ふと、英語版「なんくるないさー」じゃないかと思いました。

そういえばフランスでは「ケセラセラ」なんて歌もあります。微妙なニュアンスは違うのかもしれませんが、いずれも底流には同じものがある気がします。困難に真摯に向き合い、努力を続けながらも、最後は目に見えない大きな力に委ねてみよう…って感じでしょうか。軽やかな音(おん)のリズムが心地いいのも共通しています。洋の東西を問わず、古来より人は、こうした言葉を口にしながら、人を励まし、自分を励まし、そうして生きてきたのだなぁ、なんて思いに耽ってしまいました。

今年は元号が変わったり、消費税の値上げもあったり、また大変な年になりそうです。まずは自力でがんばれる限りがんばって、あとはやっぱり「なんくるないさー」。そんなことを思う1月です。

今年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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