中小企業家同友会

店のこと

2014年06月15日

店を始めて2年と3カ月が過ぎました。一変した生活にも少しは慣れてきたでしょうか。同時に商売のことがわかってきたかというと、そちらの方は全くもってそうはいきません。知るほどに難しさを痛感するばかりです。

学校に通っていた頃のこと。試験前ろくに勉強しないうちは、なんとかなるさと案外のんきなものでした。いざ勉強を始めた途端、自分の無知さに愕然として焦りまくったりして。大人になった今も、そんなことを繰り返しているようです。

開店前に京都府主催の「起業家セミナー」を受講し、今も大きな助けになっていることは、このブログでも何度か書いています(ブログ叩けよ、さらば開かれん ブログJupiter。そのとき学んだのは入門編、ここにきて改めてきちんと勉強したいと思うようになりました。

事業を営んでいくということ、そのうえで切り離せない自分自身のこと、目先のこと、将来のこと…、課題は山積みです。内容は初級から中級あたりに進んだでしょうか。

そうしたところ、やはり「起業家セミナー」でお世話になった先生から「中小企業家同友会」を紹介されました。全国各都道府県にあり、このブログを読んでくださっている方の中にも会員さんがいらっしゃるかもしれません。今、私が求めていることがそこにあるような。そう思い、今月、入会させていただきました。

店が繁盛すること。自分が成長していくこと。取り巻くすべてがよくなっていくこと。次代につなげていけること…。私の切なる願いです。

難しいことです。けれど「ほぼ専業主婦」だった頃、漠然と模索を続けていたことを思うと、明確な命題を持てたことはむしろ幸せなことに思えます。

たくさんの先輩方から学びながら、願いを実現させていきたいと思っています。取り入れた栄養を吸収してエネルギーに変えていくように。眠っていた細胞が目覚めて輝き始めるように。

そのためにはまず、どんなこともしなやかに受け入れられる私であれますように。

入会を機に希望に燃えている私であります(笑)。これからの経緯をブログでもご報告していけたらと思っています。

店を構えるということ

店のこと

2014年06月01日

ここ寺町に店を構えて二年少し経ちました。前回のブログ夢見通りの人々では、その喜びを綴りました。多くの方に読んでいただき感激しております。

 

一方で「店を構える」というのは、なんと大変なことかとも痛感します。

 

定休日は毎週水曜日と第二木曜日、あと夏季と年末年始の年二回、休みをいただいています。昨年、「しののめ」の創業者である義母の告別式の日は臨時休業いたしましたが(ブログ願わくば花の下にて春死なん)、あとは休むことなく今日に至っています。

 

健康であること、大きなトラブルが起こらないこと、有形無形のあらゆることが整ってはじめて店を開けることが出来ます。当たり前といえば当たり前のことですが、決して当たり前とはいかないことです。

 

一日一日が私には奇跡の連続に思えます。

 

朝、目覚めて、自宅から店に向かい、店の前に立つ時、あぁ今日も無事開けられたと心から安堵します。

 

不思議なもので、開店時間になると、店が自ら呼吸を始める気がします。お客様がいらっしゃらないと、どこか寂しげ。お客様で賑わうと、たちまち躍動を始める。まさに生きもののようです。

 

思いもかけないお客様の来訪に驚くこともしばしばです。先月のお祭りの日には、うちに置いている座布団を手掛けられたプロダクトデザイナーさんが、偶然に立ち寄ってくださいました。素敵な出会いは、座布団が招いてくれた幸運に違いないと思っています。

 

つい先日は、訳あって挨拶できないまま別れた知人が、遠方から訪ねてきてくださいました。人づてにうちの店のことを聞かれたとのこと。心のつかえが下りる感動の再会、十年ぶりのことでした。

 

なにかに困っていると、困ったところ困ったところに手を差し伸べる方が来てくださいます。私の心を見透かしたように、救いとなる言葉を持って。あぁ神様が遣わしてくださったんだなぁと思います。

 

偶然、必然ないまぜにした、こうした出会いが、毎日、この小さな店のなかで繰り広げられています。これもまた奇跡の連続です。

 

竹内まりやさんの楽曲に「毎日がスペシャル」という歌がありますが、私には「毎日がミラクル」。こんな驚きの中で暮らせる人生ってあるだろうかと、時に信じられなくなることも。 

 

一軒の店を構えるというのは確かに大変なことですが、店を構えなければ味わえない喜びがその何倍も。今風に言うと…

 

「リアル店舗」で「リア充(リアル充実)」

 

流行り言葉、省略言葉は好きではありませんが、これは言い得て妙な表現、なかなかに実感できる言葉です。(笑)

 

開店以来二年余、自分たちで作り、支えてきたと思っていたこの店、実はお客様が息を吹き込み、支えてきてくださったのではなかったか。そんなことを思うこのごろです。

 

閉店後、一日の無事に感謝します。店も静かに眠りに就くよう。静かに戸を閉め、鍵をかけ、店をあとにします。

 

今年は早くも厳しい暑さとなりました。体調管理に気を付けて夏を乗り切り、年末まで変わらず店を開けられますように。心から願った六月初日の朝でした。

夢見通りの人々

お祭りのこと

2014年05月25日

店を開いてからはすっかり時間がなくなりましたが、もともと本を読むことが大好き。願わくば日がな一日、本を読んで暮らしたいと思うくらいです。

数年前、宮本輝さんの「泥の河」に感動し、立て続けに何作品か読んだことが。そのなかに「夢見通りの人々」という作品がありました。

夢見通りに住む人々の人情味あふれる暮らし、心の機微があたたかい筆致で描かれています。詳しいストーリーは忘れてしまいましたが、ほのぼのとした読後感がタイトルの「夢見通りの人々」という心地いい音の響きと相まって、今も忘れ難い一冊です。

もう二年半ほど前のことになりますが、店を開くにあたって物件を探して、京都の通りを東西に南北に歩き回りました。そんななか見つけたのが寺町通りの小さな物件です。

程よい広さの車道を譲り合うように行き交う車。両側に青々と茂る街路樹。整備された歩道をそぞろ歩くひと。
味わい深い店が軒を連ねた趣ある商店街。そこに住まうひとの暮らしぶり。観光で訪れるひとの華やぎ。そうしたすべてがうまく融合して、えもいわれぬ風情を醸している通り。なんて素敵な街。

「夢見通りの人々」…、ふと、そんな言葉が心に浮かびました。

一目惚れしたこの物件が、今の店です。あれよあれよという間に契約に至ったのは、なにかのお導きとしか思えない幸運でした。(ブログ2011年11月28日

改装中に足しげく通ううちにますます好きになり、開店後はさらにさらに好きになり…。好き過ぎて、この通りに店を構えていることが信じられなくなることがあります。長い長い夢を見ているんじゃないかと。

「夢見通りの人々」…、それは私自身かも。

店の前で置き看板を拭いていたりすると、うしろで「こんにちは」の声。振り向くと、近所のお店の方だったり、馴染みのお客様だったり。慌てて「こんにちは」と返事をする私…。あぁ、本当にこの通りに店を構えているんだ、夢じゃないんだ、と実感する瞬間です。

先週末はこのあたりの氏神様、下御霊神社のお祭でした。縁日が並び、多くのひとで賑わう通りを、長い巡行を終えたお神輿が夕方遅く神社に戻ってきました。

「夢見通りの人々」

担ぎ手さんたちのうしろ姿を見送りながら、今年もまた目頭が熱くなった私でした。(ブログお祭りの夜に

母の日に思うこと

店のこと

2014年05月11日

今日5月11日(日)は母の日。どこのお店も華やかなディスプレイが目を惹きます。ビミョーな思いで眺めていたのも今は昔(ブログ贈り物日和)、今年は「しののめ寺町」でもささやかながら母の日にふさわしい包装あれこれと、プレゼント用にミニカーネーションをご用意しました(笑)。

 

その甲斐あってか、昨年より多くのお客様にご利用いただき、ありがとうございました。通りすがりにふらりと立ち寄られた若い男性、「買って帰るか」と独り言のあと、母の日仕様の【こばこ】をお買い上げ。私は心の中で大拍手! なんてことも。こうした瞬間に立ち会えるのは、本当に幸せなことです。

 

ディスプレイしている「お母さんありがとう」と書かれた掛け紙を眺めながら、届けられた先々で喜んでいただけたかなぁと気になっているところです。

 

「おかあさん」といえば思い出すお客様が。少し前のこと、養護施設で看護師として定年まで勤められたという女性が来店されました。障害を持ち、家庭では養育が難しい子供さんたちを預かられている施設です。「おかあさん替わりですね」と私が言うと、「でもやっぱり本当のおかあさんには適わないんですよ」と、こんなエピソードを話してくださいました。

 

その方がまだお若い頃、入所してきた子供さんに園長さんが「今日からこのひとがおかあさんよ」と紹介されると、たちまち「おかあさん、おかあさん」と言って懐いてくれたとのこと。いい気分でいたある日、実のおかあさんが面会に。するとその子供さん「ママ~」と叫んで駆け出して…。「おかあさん」というのはその方の名前だと思っていたことがわかり、皆で大笑いになったと。

 

切なすぎるエピソードに泣き笑いになってしまいました。

 

一方で、子供を切望しながら授からないことに苦しむ女性たちの存在も。とても素敵な女性でありながら、最晩年になってなおその一事を負い目に暮らしておられる方もいらっしゃいます。

 

母になること、子供でいることは、現実にはなかなか難しい。母の日近くなるとやたらと目につくテレビコマーシャルのようにはいきません。

 

私はというと、実母、義母共に今はなく(ブログこの道を通る日いつも豆腐買う、ブログ願わくば花の下にて春死なん)母の日のプレゼントに頭を悩ませることもなくなりました。子供は授かりましたが、いい娘ではなかったし、いい母親にもなれないまま今に至る…です(笑)。

 

親子というのは選べるものではありません。きっと神様が采配されたのでしょう。気まぐれにか、意図してかはわかりませんが、その組み合わせにはその組み合わせの意味があり、それぞれに学ぶべきことが含まれているように思えてなりません。

 

宿縁というように、それもひとつの縁。

 

ならば力を抜いて身を任せ、じっくり学んでいくのもいいかな。そんなことを思う今年の母の日です。

がんばる ひと

店のこと

2014年04月30日

以前のブログ美しいひとで、店を始めて世の中に美しい女性がたくさんいらっしゃることに気づいた、と書きました。もうひとつ気づいたことが。がんばっている女性がたくさんいらっしゃるんだなぁ、ということです。

 

セミナーや交流会に出かける機会が増えました。参加者の半数近くは女性でしょうか。ご自分で、あるいは仲間と起業している方にたくさん出会います。年代は学校を出て間もない方から、子育て中の若いママ、シニア世代まで幅広く、業種も手作り感のあるものからIT関連までさまざま。毎回、今日はどんな方に出会えるだろうと楽しみです。

 

私が学校を卒業後、就職したのはずいぶん(!)昔のことです。男女雇用機会均等法もなく、同期入社の男性社員が全国の支店に配属されていくなか、女性社員は地元支店勤務がお約束。数年勤めたら寿退社していくのが女の花道(笑)。そんな時代でした。これはほんの一例かもしれませんが、私の友人たちも似たような境遇だったように思います。

 

当時から組織や慣習に囚われることなく、自分の力を発揮して働いていた女性はおられたのでしょう。私のまわりでは見かけなかったせいか、よほど秀でた才能と強靭な精神力を併せ持った女性なのだと思っていました。かつ境遇にも恵まれた選ばれしひと、要するに私とは全く違う世界のひと、そう思っていました。

 

まだまだ男性社会の時代、男性と肩を並べて働く女性は「男勝り」「女だてらに」なんて揶揄されることもあったような。そんな風潮が、そうした女性をさらに特別な存在に仕立てていたかもしれません。

 

時を経て、女性の働き方も随分変わったよう。情報として知ってはいても、私には実感することができませんでした。結婚後、長年にわたり「ほぼ専業主婦」で過ごしてきた私は、ますます彼女らとは違う世界、違う次元を生きているのだと思っていました。

 

店を始めて、こうした働く女性に出会い、ようやく実感することができました。皆さん、女性ならではの視点を生かし、女性だからこその働きをされています。男性と肩を並べる必要などないのです。その姿はしなやかで美しく、「男勝り」だの「女だてらに」だのと揶揄するひとは誰もいません。

 

確かに秀でた才能と強靭な精神力を併せ持っておられますが、必ずしも恵まれた境遇の方ばかりとは限りません。それぞれに置かれた状況の中で最善を尽くされているのです。

 

私はこんなことをしています。

私はこんなことが出来ます。

私はこんなこともしようと考えています。

 

皆さん、主語は「私」。自分の持っている力、持ち味、可能性を気後れすることなくいつも目いっぱい発信されます。瞳は輝き、自信に満ちたその姿は、とても素敵です。

 

日本人、ことに女性は謙譲の美が尊ばれがち。けれどビジネスの世界、特に自力で起業していこうというとき、それではなにも伝わりません。

 

私も店を開いたからには、どうのこうの言っている場合ではなく、自分なりに精一杯、発信を続けてきました。気づけば私のまわりには、別世界のひとだと思っていた女性たちがいっぱい! 話してみると、共感できることがいっぱい!

 

皆さん、私と違う世界などでは決してなくて、私と地続きの場所にに立っておられました。線なんてどこにも見当たりません。その間に線を引いていたのは、私の勝手な思い込みでした。

 

仕事への意識の高い方は、人生に向かう意識も、自分への美意識も高い。遠くからは華やかさばかりが目につきますが、近寄ってみると陰でたゆまぬ努力を続けておられることに気づきます。がんばっておられるなぁ。いつも感心し、励まされます。

 

これからも、がんばっている女性たちにいっぱい出会い、いっぱい刺激を受けていきたいと思っています。

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