食卓の記憶
店のこと
2012年05月05日
今日は子供の日。
地下鉄を降りて店に向かう途中に、京都市の子育て支援総合施設「こどもみらい館」があります。いいネーミングだなと、いつも思うのですが、今、大きな鯉のぼりが掲げられ、ますますいい感じです。
じゃこ山椒って、子供さんは苦手かと思いきや、意外にも好評です。
「もっと、ちょうだーい」
と、ベビーカーから試食用のじゃこ山椒をリクエストするお子さんも。
「子供たちが大好きで」
と、たびたび買いに来てくださる若いお母さんもいらっしゃり、賑やかな食卓が目に浮かぶようです。
私は子供の頃、食が細く、好き嫌いも多くて、自宅でも学校の給食でもいつも居残り組でした。そんな記憶は、今もトラウマとなって残っています。
彼ら、彼女らの幼い日の楽しい食卓の記憶に、うちのじゃこ山椒がわずかでも花を添えることができたなら、こんなうれしいことはありません。
私がおばあさんになり、
彼ら、彼女らが大きくなって、
「わたしゃ、あんたたちが、こんなちっちゃい頃から知っているんだよ」
(突然、ちびまるこちゃんのおばあちゃんの口調になる)
なんて言っている光景を妄想して、一人、ほくそえんでいます。
はじめまして ル・クルーゼ
店のこと
2012年04月15日
開店日前日になって、試食用のじゃこ山椒と塩昆布を入れる器を買い忘れていることに気づきました。幸い貸してくださる方があり、当面お借りすることに…。
先日、ようやくデパートに買いに行くことができました。食器売り場で探すも、ピンとくるものがありません。なにせ佃煮屋、和風を基調にと心がけていますが、ありきたりのものでは飽き足りません。
お鍋売り場に移って、こんな可愛い器を見つけました。ル・クルーゼのものです。
ル・クルーゼといえば、性能もデザインも優れたフランスの有名なお鍋メーカーです。憧れながらも、今まで手を出せずにいました。
店員さんに用途を聞いたところ、さすがル・クルーゼ。ココットやプリン作りに、ディップ入れに…と、お洒落な料理の名前が並びます。まさか佃煮屋の店頭で、じゃこ山椒と塩昆布を入れて置かれるとは想定されていないでしょう。
漆塗りのスプーンとフォークを添えてガラスのサンプルケースの上に置くと、これが意外に合うんです。お客様にご試食を勧めるたびに、可愛いフォルムを眺めてはにんまりしています。
仲村先生
店のこと
2012年04月09日
突然ですが、どうも私は霊感が強いようです。
霊が見えるとか、金縛りにあうとかではなく、なんとなく気配を感じる、というやつです。気のせいと言われればそれまでですが…。
今回の起業に当たり、あまりに怖くて不安で、神様仏様にとどまらず、空といい大地といい、目に付くもの全てに手を合わせてきたように思います。
そんななか、今は亡き縁あった方の顔が浮かぶことがありました。
仲村先生もそのお一人です。
夫は大学時代、D大学のソフトテニス部に在籍していたのですが、仲村先生はD大学の先生であり、部の監督、そして私たちの仲人さんです。
残念ながら三年前に他界されましたが、存命中はひとかたならぬお世話になりました。三人の娘さんがおられましたが、厚かましくも私も娘の一人のような気でいたものです。
今回、D大学ソフトテニス部関係の皆様には絶大なご支援をいただいています。
私は密かに、仲村先生が空の上から号令を掛けてくださっているに違いないと確信しています。なにしろ監督ですから…。
先生がお元気だったら、なんて仰ったでしょう。
きっと、なにも言わず、ただ目を細めて笑っておられるんじゃないかな、そんな気がしています。
サクラサク
店のこと
2012年04月02日
開店祝いにと本当にたくさんのお花をいただきました。
一生分、いえ、来世、来々世分…、それでもあり余るほどのお花で、ありがたいかぎりです。
生花のアレンジメントは枯れ始め、胡蝶蘭などの鉢植えのものだけになりましたが、まだまだ店内花盛りです。
なかでも苔玉の桜が、今満開で、お客様の目を惹いています。
粋な贈り物の主は、先斗町の居酒屋さんです。
夫が独立するか留まるか五分五分のとき、たまたま府民新聞で「起業家セミナー受講生募集」の記事を見つけました。無駄に終わるかもしれないと思いながらも、もしもの時に備え応募。結果、講師の先生方、40人近い受講生たちから、大きな助けをいただくことになりました。
桜の贈り主さんはこのときの仲間です。
年齢、性別、分野と様々ですが、皆一様に前向きで、ユニークで、起業に伴うリスクよりも、醍醐味を楽しんでいる様子。それぞれ心に一輪の桜のつぼみを抱いているような、夢いっぱいの人たちでした。
開店はしましたが、まだまだこれから。本当のサクラサクを目指して精進していく所存です。
おきばりやす
店のこと
2012年03月27日
開店して10日ほどです。
「おいしかったよ」と二度三度、いえいえ四度五度と訪れてくださる方もあり、心底ほっとしています。
今日、一人で来られた中年の男性、お勘定を済ませて商品をお渡しすると、
私の目を見てひとこと、
「おきばりやす」と…。
お客様の反応にビクビクし、自分で感じている以上に緊張した毎日を送っているのでしょう。
さりげない言葉でしたが、
なんか…、
とても…、
胸に沁みました。
またご来店くださることを祈っています。