デジャブ
店のこと
2012年06月10日
開店から3ヶ月近くが過ぎました。
少しずつお馴染みさんが出来つつあり、その中にはご近所の高齢の方も。
杖を突きながらや、手押し車を押しながら来られては、店内の椅子に腰掛けてしばしお喋り、なんてこともよくあります。
ふと、この光景、どこかで見たような、と不思議な思いに駆られることがあります。そんなこと、あるわけないしなぁ、あぁ、そうそう、開店前に思い描いていた光景やんと思い至り、さらに不思議な思いに…。
じゃこ山椒も塩昆布も、スーパーマーケットに行けば手軽に安価で買うことが出来ます。高齢のお客様にとっては、日々の買い物のついでに済ませれば便利なことでしょう。
それでも「これは、やっぱり、あの店で…」そう思って足を運んでいただける店でありたい。味はもちろんのこと、そこでのお喋りがまた楽しい、そう思っていただける店…。構想中に私が思い描いていた店の光景です。
そのままの光景を、今、目の当たりに出来て幸せに思っています。
写真はご近所の玄関脇の紫陽花です。こんな季節になっていたのかとビックリ。
店作りに奔走し始めた去年の秋以来、紅葉も桜も味わうことなく過ごしてきました。
また少しずつ、季節の移り変わりを楽しむ余裕を持ちたいと思います。
この道を 通る日いつも 豆腐買う
店のこと
2012年06月02日
うちにご来店くださるお客様の半数近くは他府県の方でしょうか。観光の方がほとんどですが、なかには京都の病院に通っているという方が時々いらっしゃいます。
近郊から月に一度通院しているという方、遠方のため京都に部屋を借りているという方、なかには入院中で外出許可をもらってきたという方も。
ご本人は食事制限があり食べられないけれど、家族にと言って、じゃこ山椒を求められる姿に、かける言葉が見つかりません。
今はもう亡くなった私の実母は、長年、入院生活を送っていて、私は一人、慣れない運転で面会に通いました。
私が娘であることをとうに忘れた母に会うのは気の思いことでしたが、途中に美味しい豆腐屋さんがあり、帰りに買って帰るのがせめてもの慰めでした。夏には冷奴、冬には湯豆腐にして食べた豆腐は、美味しくも切ない味でした。
「おいしい、おいしい」
と、ことさら声に出して食べていたように思います。
病気は本人にとっても家族にとっても辛いものですが、そんななかでも人はちょっとした隙間に楽しみを見つけられるものなんですね。
この道を 通る日いつも 豆腐買う
思いのままを五七五にして新聞の川柳に投稿したところ、佳作に選ばれた、なんてことも。ビギナーズラック、ってやつです。
決して楽しくはない病院通い、それでも皆さん、なにかしら楽しみを見つけられている様子がうかがえます。
写真は近くのスーパーの軒先で見つけたツバメの雛。たくましい生命力、あやかりたいものです。
起業家セミナーメンバー 手作り結婚式
お友達のこと
2012年05月27日
先日、友人の結婚式に出席しました。会場はホテルでも洒落たレストランでもなく、先斗町の小さな居酒屋さん。4月2日のブログ「サクラサク」でも触れた起業家セミナーの仲間のお店です。
新郎もセミナーのメンバー。私よりかなり年下ながら、豊富な知識と包容力で、みんなの兄貴的存在。私も今回の起業に当たって、ずいぶん相談に乗っていただきました。その人柄の賜物、セミナーメンバーが大勢集まりました。
この手作り結婚式、さすがセミナー卒業生の発案。企画、アイデア、プレゼンテーション、顧客サービスにコストパフォーマンスと、セミナーで学んだことの全てが網羅されたハイレベルな出来でした。
写真は居酒屋「ほそ池さん」特製のおでん結婚式バージョン。てっぺんにのせた大根には「HAPPY WEDDING」とからしで書かれています。ケーキ入刀ならぬおでん入刀でした。
それぞれに山あり谷ありの人生の中、「添い遂げる」決意をされたお二人。涙、涙の新婦に、女子メンバーももらい泣き。人の幸せに涙できるって、なんて幸せなことでしょう。
起業家セミナー女子会
お友達のこと
2012年05月24日
4月2日のブログ「サクラサク」でも書きましたが、昨年秋、京都府が主催する「起業家セミナー」を受講しました。そのときのメンバーとはその後も進化、発展を遂げながら交流が続いています。
メンバーのうち女性は3分の1くらいでしょうか。20代から60代まで年代もジャンルも様々ですが、共通項は「前向き」なこと。
その女子メンバーで、嵯峨野にあるスーパー銭湯「天山の湯」に行ってきました。初の女子会です。開店間もない私の慰労会ということで、うちの定休日に合わせての主催、平日にも拘らず4人が集まってくれました。温泉につかって、食べて、飲んで、喋って喋って…。
母親失格、妻失格の私は主婦トークが苦手なのですが、このメンバーの話は仕事もプライベートもとにかくユニーク。久々に、本当に久々に笑い転げました。こんなに笑ったのは何ヶ月ぶりでしょう。
夜更かししたにも拘らず、翌朝目覚めると、いつもはぱんぱんにはっている背中一面のこわばりが和らいでいて驚きました。温泉と笑いの効能は絶大です。
この企画がなかったら、せっかくの休みも店のことと家の用事に費やしていたはず。日常から引っ張り出してくれたメンバーに感謝です。
起業家女子たち、ありがとう!
つるやのサラダパン
店のこと
2012年05月20日
3月21日のブログで書いていますが、私、滋賀県の湖北、木ノ本の観音様が大好きなんです。
地下鉄の駅を降りて竹屋町通りを店に向かうとき、正面に西国三十三カ所巡りの19番札所、通称「こうどうさん」が見えます。毎朝、心の中でそっと手を合わせ、木ノ本の観音様のことを思います。
またゆっくりと訪ねたいと思いながら、まだ時間がつくれずにいます。
私が木ノ本好きなことを知る友人が、きのう、木ノ本までドライブしてきたと、店にお土産を届けに来てくれました。袋をのぞくと、「つるや」の「サラダパン」が!
木ノ本の北国街道沿いに古くからあるパン屋さんの名物パンです。少し甘めのコッペパンの切り目にマーガリンが塗ってあり、そこにマヨネーズで和えた刻んだたくあんが挟んであるんです。そう、漬物のたくあんです。
パンにたくあん、なんてアバンギャルドな取り合わせでしょう。知らずに初めて食べたときは仰天しましたが、これが病み付きになる美味しさなんです。
久々に食べたつるやのサラダパンは変わらぬ美味しさで、
「ああ、これこれ」
と、うれしくなりました。
風情ある街道の佇まいや、昔懐かしい雰囲気の店内の様子まで目に浮かぶから不思議です。
「しののめ 寺町」も暖簾分けから2ヶ月。
馴染みのお客様が、ご試食用のじゃこ山椒を一口召し上がり、
「これこれ、この味」
と言ってくださるのを聞くと、ほっとします。
そして、お客様がよく仰るのが、
「このあたり、風情のある街ですね」
という言葉。
変わらぬ美味しさを。
そして、うちのじゃこ山椒を召し上がっていただくとき、寺町の風情ある街並みを思い出していただける。
そんな店になれる日を夢見ています。