一年前、そして一年後

店のこと

2012年10月31日

今日で10月も終わり、開店から7ヶ月半が過ぎました。 この間、何度となく心に浮かんだのは、 「一年前の今頃は、こんなこと想像もしてへんかったなぁ」 という思いです。 そんな、にわか仕掛けの起業でした。今年の雪景色も桜も夏空も、私の目には去年とは違うもののように映りました。

 

一年前の今頃というと、そろそろ生活が一変するかもしれないという気配が漂い始めた頃でしょうか。サイコロの目がどう出るか不安におののきながらも、一方で覚悟を決めていかなければならない厳しい時期でした。

 

結果、起業という「目」が出て、運命が大きくうねり始めました。本当に一寸先のことはわからないものです。いいことも、悪いことも、そのときどきに真摯な姿勢で向き合わねばならないのだと学びました。 この一年は十年分くらい生きた気がしています。

 

先日のこと、妙齢のご婦人が5人ほど店に入ってこられました。味見をされ、お茶を召し上がり、商品を吟味したあと、「今日は一年後の同窓会の下見、一年後にまた来ますね」と。幹事さんが京土産を用意するのが恒例なんでしょう。「鬼が笑うかな」とにこやかに帰っていかれました。

 

私、毎日、今日、明日のことで精一杯。一年前の今頃を思うことはあっても、一年後の今頃を思うことなどありませんでした。一年後、「しののめ寺町」がここにあり、じゃこ山椒が陳列棚に並び、店に私が立っている…。それは当たり前のようで当たり前でないことのように思えます。一寸先のことは誰にもわからないのですから。

 

けれど、わからないならわからないで、そんな一年後をあっけらかんと思い描くのも悪くない気がします。「一年後、お待ちしております」と私もにこやかにお見送りしました。数ある京土産のなかから「しののめ寺町」のじゃこ山椒を選び、またご来店くださるよう、一日一日積み重ねていこうと思います。

最後のドライブ

店のこと

2012年10月06日

10月になり、めっきり秋らしくなりました。

毎朝、地下鉄丸太町駅で降り、店を目指して竹屋町通りを東に歩きます。夏の辛さはもうありません。

 

開店前から数えると、冬、春、夏、秋と季節が巡りました。つくづく不思議に思います。この道をこんなに通ることになるなんて、夢にも思わなかったと…。

 

このあたりは静かな住宅街で、なんということもないけれど、人の営みが感じられるいい通りです。なによりの魅力は、西国19番札所「革堂さん」の正門に行き当たることでしょう。毎朝、観音様の懐に導かれていくような、すがしい思いで通っています。

 

俳優さんが亡くなったときなど、霊柩車が馴染みの劇場の前を通って火葬場に向かう、なんてニュースを耳にすることがあります。願わくば、私も人生最後のドライブ、この道を通ってもらえたらと思っています。自宅近くの葬儀所で葬儀を行い、火葬場に向かうのに、さして遠回りでもなさそう。しかも幸いにも東行きの一方通行です。

 

革堂さんの前でゆっくり右折し、反対車線にはなりますが「しののめ寺町」の前で数秒停車し、プハァーと小さくクラクションを鳴らしてもらえたら…。私の人生めでたし、めでたし、です。

もし「しののめ寺町」が存続していなかったら…。そのときは、かつてあった場所でもいいんです。ちょっと淋しいですが、それもまた仕方ない。

 

こんなことを書くと、驚かれる方があるかもしれません。確かに私はいつも死を意識して暮らしているところがあります。けれどそれは決して悲観的なものでないんです。楽しい旅行の計画があると、それまで頑張れる、いつも以上に頑張れる、そんな感覚でしょうか。むしろ励みになるんです。やっぱり変わっているでしょうか。(笑)

 

棺桶にゆかりの品を入れる、なんてこともあるようですが、私は決して何も入れてくれるなと家族に伝えています。毎日、重い荷物を引きずって通っているこの道、死んでまで荷物はまっぴら。手ぶらが一番です。

 

     などかは降ろさん 負える重荷を       (賛美歌312番)

 

楽チンに横になり、熟練のドライバーの運転で、いつの日かこの道を通れると思ったら、死ぬのもまんざら悪くない。

 

どこまで生きても心残りは尽きないでしょうが、少しでも心残りなく死ねるよう頑張って生きていこう。そんなことを思いながら、今日も竹屋町通りを歩いています。

IT関係のひとびと

店のこと

2012年09月26日

店を構えていると、やって来られるのはお客様だけでなく、様々なセールスの方も。ウェブ対応が必須の今、IT関係の方も多いです。パソコンだけでなくスマートフォンにも対応していかなければならない時代のようです。

プロにお願いしたら、低迷している自作のホームページのアクセス数も店の来客数も一気にアップするかも、なんて思います。

けれど、なんせ資金難。当面はなんとか自分で出来るところまでやっていきますと、正直に答えてお断りしています。

どう見ても脈がない客、セールス目当てならそそくさと帰られるところでしょう。それがセールスを度外視して親身に相談にのってくださったりして驚いてしまうことがあります。それも一人じゃなく、二人、三人…。申し訳ないと思いながら、ちゃっかり活用させてもらっています。

ブログを読んでくださっている方の中には、のんきにありがたがって、おめでたい性格だと思われる方があるかもしれません。いつかは成約につながると、下心があるからだと…。

そうかもしれません。でも、やっぱりそうじゃない。

IT関係の方って、クールで、どちらかというと冷徹、なんてイメージを持っていました。IT関係の知り合いが増えるにつれ気づいたことですが、実際は有能な方ほど、ホットで、人間味に溢れています。

皆さん、機械を扱えるかどうかの前に、そこに「なにを」打ち込めるかどうかが大切だと、異口同音に言われます。

私が素人なりに懸命にやっているとわかると、仕事を超えて助けてくださるのは、取りも直さずそうした人間味からでしょう。

こうした皆さん、ますます信頼の篤い、優秀なセールスマン、セールスレディに育っていかれるに違いないと信じています。

この場を借りて、お礼を。ありがとうございます!

叩けよ、さらば開かれん

店のこと

2012年09月21日

このブログでも何度か書いていますが、昨年の秋、10月から11月にかけて、京都府主催の起業家セミナーを受講しました。

その情報誌「クリエイティブ京都M&T」9月号に、卒業生として私の拙文と「しののめ寺町」が紹介されています。興味のある方は京都産業21のホームページからご覧ください。http://www.ki21.jp

当時はまだ起業するかどうか未定の状態で、万一に備えて出来る準備はしておこう、といった感じでした。

初日、教室に入るなり、気後れするばかり。まわりの人が皆、有能でバイタリティ溢れて見えたものです。内容もなかなかにハードでしたが、もう後にはひけません。くらいついていこうと覚悟を決めると、あとは学ぶ楽しさにとり憑かれました。学生時代の再来、よみがえる青春、といったところでしょうか。(笑)

セミナー終了と共に起業が決まり、物件が見つかり、あれよあれよという間に開店の運びとなった次第。それが今年の3月です。そして開店から半年が過ぎました。あまりに目まぐるしい一年。思えば、起業家セミナーが幸運の扉だったように思います。

叩けよ、さらば開かれん

まさか一年後、卒業生代表として原稿を依頼され、自分の店が紹介されるなんて、夢にも思っていなかったことです。人生、なにが起こるかわかりません。

この起業家セミナー、今秋の募集、まだ間に合うようです。このブログを読んでくださっているあなた、起業なんて、と思っているあなた、いかがでしょうか。一年後、どこかの店の店主になっているかもしれませんよ。ホント!

アジアの仲間

店のこと

2012年08月17日

ある日のこと、首からカメラを下げた青年が店頭のポスターをしげしげと眺めています。お味見だけでもと勧めると、理解不能の掛け声とともに数人の青年が集合。台湾からの観光の方のようです。

「コレハナンデスカ?」と、一人が懸命の日本語で質問と思いきや、日本人の通訳さんでした。見た目は区別がつきません。自称、勝手親善大使の私はさっそく店内にご案内。

外国人観光客の多い寺町ですが、お国によっては、ちりめんじゃこの見た目だけで「ノーサンキュー」という方も。台湾の方は違和感はないようです。

そのうちのお一人は、台湾でおにぎりの屋台をされているとのこと。私の拙い英語の説明にも興味津々です。

お味見の後はお茶のサービス、「しののめ寺町」では下御霊神社の名水でいれたお茶をご用意しています。またまた拙い英語で説明をするも、「これは神の水です」なんて怪しげな商法のうたい文句のように。

 「彼らは漢字がわかりますから、その説明書きを見せたら通じますよ」と通訳さん。半信半疑で説明書きを差し出すと、「おぉ~」と一斉に納得の声が上がりました。

印籠をかざす黄門さんの気分です。

「日本茶、口に合いますかね?」と通訳さんに聞くと、

「彼らもお茶を飲む習慣がありますから大丈夫です」とのこと。

反応はビミョーでしたが、味わいながら飲み干してくださいました。

じゃこ山椒をいくつかご購入、店内外の写真をたくさん撮って、「ありがとう」と帰って行かれる後姿を見送りながら、「異文化交流やなぁ~」と一人、悦に入る私。

けれど異文化というより共通点の多かった彼ら、思えば同じアジアの仲間やん、と気づいたことでした。

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