素敵な女性

2024年05月23日

薬師丸ひろ子さんのこと

薬師丸ひろこ

以前は特に気に留めなかったのに、最近になって好きになり始めた芸能人…。って、皆さん、おありではないでしょうか?

若い頃とはまた違った魅力が際立ってこられたとか。自分も年齢を重ねて、魅力を感じる部分が変わってきたとか。おもしろいものだなぁと思うのですが…。

私はただ今、薬師丸ひろ子さんがそういう存在です!

10代の頃から第一線を走り続けておられる大女優さんであり、ヒット曲をたくさんお持ちの歌手でもあり。今さら失礼千万なことですが。

きっかけは少し前に観た映画「川っぺりムコリッタ」だったかもしれません。「かもめ食堂」以来ファンの荻上直子監督の作品は毎回観ることにしているのですが、これもその一つでした。(ブログかもめ食堂 かもめ食堂2

その中にとても印象深いシーンがあります。

松山ケンイチさん演じる不遇な生い立ちの主人公の青年が、幼い頃に生き別れ、孤独死した父親の遺品として携帯電話を引き取ります。

その発信履歴に何度か出てくる番号が気にかかるも、本人は携帯電話を所有することも叶わない境遇。そこで公衆電話から恐る恐るかけてみると…。

「いのちの電話です」という女性の声。

戸惑いながらも二言三言交わし。そして、なにかしら腑に落ちるものを感じた様子で、静かに受話器を置く…。

声だけのほんのわずかな出演時間ながら、ただならぬ存在感。一体どなただったんだろうと思っていたところ、エンドロールで薬師丸ひろ子さんのお名前を見つけ、至極、納得したことを覚えています。

その後、NHKの歌番組「SONGS」や「COVERS」で、薬師丸ひろ子さんの特集を見る機会が続き。改めて、透明感のある歌声に魅了されてしまいました。

歌と共に心惹かれたのがインタビューです。背筋をしゃんと伸ばし、終始やさしい微笑みをたたえ、司会の方の質問に一つ一つ言葉を選びながら丁寧に答えられる。その佇まいがとても美しく、誠実に感じられました。

抑揚のある話し声が、歌う時とはまた違って魅力的です。

決して多くを語られるわけではないのに、どんなに真摯な思いでお芝居と歌に取り組んでこられたかが垣間見えるお話しぶり。聡明さと表現力に惹き込まれてしまいました。

ご自分が大切にされていること。その優先順位をきちんと理解されていて、どんな過酷な状況でもブレルことはなく。それはそのまま生きる姿勢のようでもあり。

一連の立ち居振る舞い、声、発せられる言葉…。すべてに薬師丸ひろ子さんの持つ品格が表れているのだと思わずにいられません。美しい人にはちゃんと裏付けがあり、その裏付けが表に表れるということでしょうか。

これぞ「ひととなり」。

芸能界には年齢を重ねてなお綺麗な方はたくさんおられます。そのなかにあって、薬師丸ひろ子さんの自然な、内面から醸し出される美しさは格別ではないでしょうか。

今になって心惹かれるようになったわけは、そんなところにあるように思います。

これらの番組をたまたまビデオに撮っていたのですが、実のところ、もう何度も見ています。

次、どう答えられるか。次、ころころと笑われるぞ。なんてわかっていてもまた見たくなる。夕食後のほっこりした時間が多いのですが、見ているうちに、一日の疲れが取れ、心地いい境地にいる自分を感じます。

思うに、心のこもった声で真実の言葉が語られるのを聞くこと。それ自体にひとを癒す効果があるんじゃないか。

先の映画で、困惑の中にいる主人公が、二言三言の会話から感じ取ったものも、こうしたものだったのではなかったかと推察します。

いのちの電話のみならず、こんな人がそばにいてくれたらいいな。そして…、誰かにとって、こんな人になれたらいいな。なんて思ったりして。

というわけで、今さらながら(!)ファンになり、CDを聴く毎日。これまで出演された映画も、時間を見つけては観ていきたいと思うこのごろです。

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