店のこと
2017年11月09日
九条ねぎ おじゃこ
秋限定の新商品「九条ねぎおじゃこ」。もう召し上がっていただけましたでしょうか? 九条ねぎのほのかな甘みと香りが、あっさりと炊き上げたじゃこ山椒と、思いのほかマッチしたよう。お蔭様で、大変ご好評いただいております。
昨年から始めた季節限定商品の試み。春の「桜」、夏の「梅」、秋の「生湯葉」。そうして今年また二巡目の「桜」「梅」ときて、秋…。「生湯葉おじゃこ、美味しかったわ。今年はいつから?」とのお声もたくさん頂戴していたのですが、繊細な生湯葉のこと、なにぶん手間がかかるため、今季は断念した次第です。申し訳ありません。
代わって、今年は「九条ねぎおじゃこ」。上質な九条ねぎの生産、加工で定評のある「こと京都」さん(https://www.kotokyoto.co.jp/)にご協力いただきました。以前のブログで書きましたが、中小企業家同友会(ブログ中小企業家同友会)という会に加入しているのですが、「こと京都」さんも会員であられることから結ばれたご縁です。
新商品は、毎回、決まるまでも、決まってからも、プレッシャーなものです。今回の九条ねぎ、とても上質で高価なものを使っております。うまく生かせなければ、九条ねぎにも、「こと京都」さんにも、申し訳ないことになります。
九条ねぎとおじゃこなんて、リスクが高過ぎはしないか。緑のおじゃこって、いわゆるインスタ映えする絵だけれど、味が伴わなければ、むしろ軽薄な印象になるのでは。いつも以上に不安でいっぱいでした。
果たして受け入れていただけるのかどうか…。販売初日の朝は、いつもドキドキです。店先の黒板に新商品の案内を書き、お味見用のおじゃこを器に入れて、いざ開店。
お客様が入ってこられるなり、口を揃えて「九条ねぎおじゃこってどんなの?」と仰るのには驚いてしまいました。「九条ねぎおじゃこ」でなければ通り過ぎておられたかも、と思う方も多数あるような。お味見のあと「おいしい!」のお言葉に、胸を撫でろした次第です。
季節限定商品には、毎回、新鮮な発見がありますが(ブログじゃこ桜、ブログ生湯葉おじゃこ)、今回はまた違った手応えを感じています。九条ねぎという斬新さ。鮮やかな緑という見た目のインパクト。不安材料だった部分にこそ、お客様が評価をくださったことです。
今や「じゃこ山椒」「ちりめん山椒」といえば、京都のお土産の定番の一つになっているよう。それはうれしいことですが、高級料亭さんからスーパーマーケットまで、どこでも売られる食べ物となりました。
たまに街中の商店街やデパ地下を歩いていると、右を見ても「おじゃこ」、左を見ても「おじゃこ」なんてことも。溢れかえるお店と商品のなか、個性を発揮するにはどうしたらいいものか…。雑踏にもまれながら、途方に暮れてしまうことがあります。そんななか生まれた今回の新商品…。
「『九条ねぎおじゃこ』って、日本中どこを探してもないんじゃない?」
ある日、常連のお客様からかけられた言葉に、思わず拳を握り、レジの下で小さくガッツポーズをした私でありました(笑)。
北区の「しののめ」から独立して5年半。伝統を守りつつも、新しい店ならではの個性を築いていきたい。そう願ってきました。個性とは、決して奇抜なことをするのではなく、小さなチャレンジを積み重ねていくことなんじゃないか。プレッシャーやリスクを恐れない勇気を持ち続けることなんじゃないか…。
「九条ねぎおじゃこ」はそう教えてくれたように思います。それはとりもなおさず、真摯な姿勢でもの作りを続けておられる「こと京都」さんから学んだことでもありました。
この機会にご賞味いただければ幸いです。なお、一度に多くの量を作れませんので、早い時間に売り切れる場合がございます。ご了承の程よろしくお願いします。