店のこと
2023年03月30日
11周年
お蔭様を持ちまして、3月16日、「しののめ寺町」は11周年を迎えることができました。ひとえにご愛顧いただいているお客様、お世話になっている取引業者様のお力添えの賜物。ありがとうございます!
なんといいましても昨年の10周年は大きな節目でした(ブログ 10周年)。思い返してみると、開店以来ことあるごとに、「10年はがんばりたい」「10年まであと〇年」。そんな言葉がよく口をついて出たものです。
なんで10年?と聞かれてもよくわからないけれど。10年を待たずに店を畳むことになれば、「あぁ失敗しはったなぁ」って言われるんだろうなぁ。漠然とそんなイメージがありました。
そりゃあ、数年で店を畳んでは失敗と言われても仕方ありません。でも、何年で終わったとしても、3年なら3年、5年なら5年、その年数分がんばってきたものがあるはず。それを「失敗」の一言で済まされては悲しい。
10年続けば成功というものでもないけれど。10年あたりを目安に、「まぁがんばらはったなぁ」とひとまずは認めてもらえるような。許してもらえるような。
それって、誰に? と聞かれても、これまたよくわからないけれど。神様なのか、いわゆる「世間」というものなのか、はたまた自分自身なのか。
ともあれ10年というものを目標にし、励みにし、そうしてやっとこさ辿り着いた昨年の10周年。
「10年」という目標を達成した喜びと共に、「10年」という呪縛から解放された安堵感も大きく。この「10年」が緊張に満ちた年月だったことを、改めて思い知った次第です。
遡ること11年前、予想外の突然の独立劇。一からの起業とは違う恩恵もあれば、難しさもあり。自分の店であって、自分の店でないような…。なにかしら不自由さが付きまとうのも致し方ないことでした。
10年を経て、もうそろそろそうしたものから解き放たれてもいい頃かな。店も、自分も…。
なにものにも囚われることなく、もっと自由に独自の店作りをしていきたい。そんな思いが芽生えた一年でした。
そうして迎えた今年の3月16日。朝一番に大きな箱が届きました。開けると、今にもほころび始めんばかりの蕾をたわわにつけた桜の束が。
送り主は当時大学生だった初代アルバイトの女の子。卒業と同時に地元に戻り就職、今では素敵な大人の女性になっています。
この日を忘れず、毎年それはそれは趣向を凝らしたお花を贈ってくれる彼女。今年は11年ということで、漢数字の「一」からイメージして枝物にしようと決めたのだとか。
実のところ、私はろくでもない人間なんじゃないかと思うことがあります。いやはや本当です。それが、こんなことをしてもらえるなんて…。
私も捨てたもんじゃない!
そう思わせてくれるに余りある素晴らしい贈り物に、胸がいっぱいになりました。
日々、困難は尽きません。が、これからはもう少し自信を持って、自分らしい店作りをしていきたい。
その後、見事に開花した桜を眺めながら、そんなことを思った11年目の春。これからも末永くよろしくお願い申し上げます。