店のこと
2016年02月29日
こちら側の笑顔
最近、私の中でテーマとなっている言葉があります。昨年末、ある会で聞いて以来、気になって仕方ない言葉です。
「こちら側の笑顔」
少し以前に、中小企業家同友会に入会したことを、このブログでも紹介しました(ブログ中小企業家同友会)。会員同士が経営について真摯に学び合う会で、時間が許す範囲で、例会に参加させていただいています。
その日は宮崎にある着ぐるみを制作する会社「KIGURUMI.BIZ(株)」の取締役工場長さんを報告者に招いての例会でしたwww.kigurumi.biz。私と同年代と思われる女性。終始にこやかな表情がとても素敵です。柔らかな口調で語られる、厳しくも楽しい会社経営のお話に、たちまち引き込まれていきました。
そんななか出てきたのが、「こちら側の笑顔」と「向こう側の笑顔」を叶えるために…というお話。
「向こう側の笑顔」はお客様の笑顔です。お客様の笑顔を見ることは、商売をする者にとってなによりの喜び。そのためには、いくらでもがんばれるものです。ただ、そこにばかり目が行くと、無理が生じ、疲れ果て、結果、お客様に喜んでいただけるいい仕事ができない、ということも。
そこで大切なのが「こちら側の笑顔」。働く側の笑顔です。働く人間が、まず笑顔でいられることが大切だと気付かれてからの大改革。その経緯を話されたのですが、社員全員が女性というこの会社。挙げられる例えも、私にはわかりやすく、なるほどと感心させられることばかりでした。
ビデオやパンフレットで紹介される社員さんは皆、本当に素敵な笑顔。その手で作られていく着ぐるみたちも、とっても幸せそう。受け取られるお客様の笑顔が目に浮かびます。実践の成果が一目瞭然。
「しののめ寺町」は、間もなく開店から4年を迎えようとしています。多くのお客様に来ていただくには、どうしたらいいのか。来てくださったお客様に喜んでいただくには、どうしたらいいのか。そんなことを考え続けてきた毎日だったように思います。今なお…。
店と自宅を往復。店をやっている人間であり、家庭を切り盛りする人間であり。ひとりの人間であり、ひとりの女性であり…。一日24時間、体は一つ。慣れないうえに要領の悪い私。やるべきことを優先順位の一位から当てはめていくと、とてもじゃないけど収まらない。
上位はどうしたって店のこと。下位はやっぱり自分のこと。結局いつも泣く泣く切り捨て。なんてことの繰り返し。それでもお客様の笑顔が見たいという思いが力強い原動力となって、私を突き動かしてきてくれたように思います。
でもやっぱり、4年の間には、どうしても笑顔になれない日もあったかなぁ。正直に言えば、涙を拭き拭き店に立った日も、一日二日はあったかなぁ。プロじゃないなぁ。今さらながら反省しきりです。
よくかけられる言葉があります。店に立つ人間が輝いていないと、その店は輝かない。店に立つ人間が幸せじゃないと、その店は幸せになれない。あなたが輝いていること。幸せでいること。それが大事、だと。
どんな仕事もそうでしょうが、商売もやはり厳しいものです。課題山積、日々、切磋琢磨していなければ続けていくことはできません。といって必死の形相をしていたのでは、お客様も逃げていかれるでしょう。
まずは私が心身ともに健康で、人として幸せを感じられる毎日を送っていること。それこそが商売をやっていくうえで、一番基本となることなんじゃないか。そう思うようになりました。
考えれば、「向こう側の笑顔」はお客様ばかりではありません。家族だったり、さまざまなひと付き合いだったり、いろんな「向こう側」に囲まれ暮らしているものです。そこでもついつい「向こう側の笑顔」を窺うあまり「こちら側の笑顔」を忘れがち、なんてことも。
「こちら側の笑顔、こちら側の笑顔」と心で唱えると、人差し指に乗せたやじろべえが振れて、うまくバランスをとってくれるよう。私の魔法の言葉となりました。
この言葉との出会いに導いてくださった、たくさんのご縁に感謝しながら、春を待つこのごろ。改めまして、今後ともよろしくお願い申し上げます。