店のこと

2014年01月10日

ここから見える風景

新年も早10日が過ぎました。ブログでのご挨拶が遅くなり申し訳ありません。昨年3月に「しののめ」の創業者である夫の母が亡くなり喪中のため、新年のご挨拶を控えさせていただきました。

 

年末、多くのお客様にご来店いただき忙しい毎日でした。お陰様で店のことで精一杯、自宅の大掃除など全く手つかずの年越しでした。今年は目をつむって、お正月休みくらいのんびり過ごそうと思っていたのですが…。

 

主婦の哀しい性(さが)でしょうか。家の中を動いた先々、あっちでゴシゴシ、こっちでがさごそ、気になるところを見つけては掃除や整理を始める始末。お正月からなにやってんだか、と呆れながらも、長年見慣れた風景のなかでの手馴れた作業は、かえって落ち着くものだなぁと思ったり。店では緊張して過ごしている自分を再認識した次第です。

 

話は飛びますが、私が車の運転免許を取ったのは40歳の時でした。ドン臭いことを自認している私、下手な運転で人様を傷つけることがあっては大変と、生涯、免許は取らないと決めていました。

 

それが、ある時、ふと思ったんです。例えばですが、人身事故を起こす確率が5%として、その5%の危険を恐れるあまり、残り95%の可能性を棒に振っているのはもったいない、と。さっそく教習所通いを始め、遅まきながらのドライバーデビューを果たしました。

 

当時、我が家の車はパジェロという大きな4WD車でした。よく人から「小さい体で大きい車を運転してんにゃなぁ」と驚かれたものです。人力で動かす訳ちゃうし、と心でツッコミを入れながらも、カーブにしろ車庫入れにしろ、身に余る大きさに四苦八苦していたのは事実です(笑)。そしてそんな自分に一番驚いていたのは他ならぬ私自身だったかもしれません。

 

それまでの私の指定席は助手席でした。わずか数十センチ右に移動しただけですが、前を走る車のうしろ姿、センターラインの角度…、似ているようで全く違って見えました。運転席からしか見ることの出来ない風景、免許を取らなければ出会えなかった風景…。運転するたびにいつも不思議で、ちょっと緊張して、そしてワクワクしていました。

 

こんなことなら、もっと早く免許を取ればよかったとも思いましたが、それまではきっと私の中の機が熟していなかったのでしょう。何事も用意されたタイミングというものがあるように思います。

 

「しののめ寺町」開店と同時に「ほぼ専業主婦」から「にわか女将」になって1年10ヶ月、起きている時間の大半を店で過ごすようになりました。レジあたりに立ち、店の中をぼんやり眺めながら、この風景を見て過ごしている自分を今でも不思議に思います。ちょうど免許取りたての頃と似た感覚です。

 

起業には100%約束された成功など有り得ません。何割かの確率の失敗を恐れて踏み出せずにいたら、この風景に出会うことはありませんでした。見慣れた風景は落ち着くものですが、一歩踏み出すことでしか見えてこない風景もまたいいものだなぁと思います。今では愛しい愛しい風景です。

 

「しののめ寺町」という店、免許取りたての頃のパジェロ同様、にわか女将には身に余る大きさです。ドン臭い私はまだまだうまく運転できずにいます。それでも日々、緊張感やワクワク感を楽しみながら、これからもやっていきたいな。そんなことを思う年明けでした。

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