家のこと
2023年08月31日
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誰しもほっとできる場所というのがあるかと思います。行きつけの店だったり、近くの川べりや神社仏閣だったり…。なんといっても自分の家、という方も多いかもしれません。
開店以来、大半の時間を店で過ごすようになった私。家で過ごす時間のありがたさは、このブログでもよく書いています。(ブログ時間)。
さらに最近になって実感しているのが、その時間を過ごしている器、家そのもののありがたさです。
自宅は店から地下鉄で北へ3駅。仕事帰り、駅併設のスーパーマーケットで買い物をし、外に出ると見慣れた風景が広がります。
季節により、時間により、まだ明るかったり、真っ暗だったり。その時々の空を見上げては、「帰ってきたぁ」って懐かしい気持ちになります。
旅行に出かけていたわけじゃなし。たった半日のことなのに不思議です。
帰れば慌ただしく時間は過ぎ、気づけばあと少しで就寝時間。やっとゆっくりできる束の間のひととき。もうちょっと、もうちょっと、とついつい先延ばしにし、翌朝後悔することも。
そして待ちかねた休日。普段できないこまごまとした用事を片付けながら、自宅で過ごすというただそれだけのことがうれしくて、うれしくて。
そんな時、家に宿る「気」というのでしょうか。部屋にゆらゆらとたゆたう空気を感じることがあります。その心地いい空気に包まれながら、日々の疲れが徐々に癒えていくような。
思わず、天井を見上げて「ありがとう」って、声を掛けたりなんかして。
いやはや、知らない人が見たら、かなり怪しい光景です(笑)。
思うに…。私はそもそも備わっている容量が小さいようで。とにかくすぐにいっぱいいっぱいになってしまいます。
しかも処理能力が低く、いろいろなことを並行してこなすのも苦手。私がパソコンならとっくにお蔵入りです(笑)。
なんというか…。仕事でも、プライベートでも。楽しいことにつけ、そうでないことにつけ。自分の中に落とし込むのに時間がかかる性質のようで。
「ため」の時間というのでしょうか。それが人より多く必要な気がしています。とどのつまり要領が悪いだけなんですが(汗)。
店を始めて11年。店は私にとって舞台のようなもの。華やかで楽しくも、常に緊張感を伴う場所です。
一方、今の自宅とはもう20年近い付き合いになります。店が舞台なら、こちらはさながら楽屋裏。素のままの自分でいられる安堵感と共に、ここで「ため」の時間を過ごしているんだなぁと思います。
実のところ3年ほど前に、この家を出て、店の近くに小さなマンションを借りる、という選択肢がありました。けれど結局、この家に留まることに。
小さな家ですが、戸建てというのはやはり手のかかるものです。日々の掃除に、どこかが傷んだといえば修繕し。
通勤時間も片道30分。往復で1時間。暑い日、雨の日、雪の日…。あの時、店近くのマンションを選択していたら、と後悔することしばしばです。
けれど、この家から受ける恩恵は、そうした不自由さを上回るものなのかもしれない。馴れ親しんだ家だからこそ得られる癒しによって、私はまた店に向かうエネルギーを蓄えてこられたんじゃないか。
最近、そう思うようになりました。
先だっていただいた夏休み。今年こそは遠出をと思いながら、台風もあって、ほとんどを自宅で過ごすことに。
ぞうきん片手に、日頃見ないふりをしている、そこここの汚れを拭いてまわったり。微妙にずれている時計の時刻を合わせたり…。
地味だなぁ~と呆れながら、そんな自分がまんざら嫌いでもなく。ぬくぬくとした空気の中、「ため」の時間を堪能した5日間でした。
こんなスローな私、とても経営者に向いているとは思えません。
それでも、店と家、それぞれのバランスをうまく取りながら、自分なりのスタイルでこれからも店を続けていきたい。そう思うこのごろです。
お付き合い行き届かず、各方面に不義理をしてしまっていること。定休日を増やし、お客様にご迷惑をお掛けしていること。この場を借りて心よりお詫びしたく思います。
こんな私でありますが、これからも何卒よろしくお願い申し上げます。