お祭りのこと

2022年08月08日

鷹山

粽

今年の夏はこれを書かないわけにはいきません。先月、3年ぶりに行われた祇園祭です。

コロナ禍で中止を余儀なくされていた間も、関係者の方たちで神事はしめやかに行われていたようです。けれど祇園祭と言えば、やはり17日と24日の山鉾巡行。そして、それぞれの夜に行われる御輿渡御がメイン。

一般の私たちはそれなくしては祇園祭を感じる機会がありません。この2年間はぽっかり穴が開いたような寂しい夏でした。

京都に生まれ育ちながらも、長年、どこか遠いものに感じていた祇園祭。それが店を始めて以来、私にも身近なお祭りになっていたんだなぁ。そう実感した2年間でもありました。(ブログ私が苦手だったもの 京都)(ブログ祇園祭

今年は山鉾巡行の復活と共に、196年振りの鷹山の復興が大きな話題でした。江戸時代の大雨で懸装品を傷めてしまい、以来、休み山となっていた曳山(ひきやま)です。

無事だったご神体の一部はお町内で大切に保管されていたとのこと。復興の願いは脈々と受け継がれていたのでしょう。それが長い準備期間を経て少しずつ具体化し、ようやく結実した今年…。

関係各位、そのまた周りの方たちのご苦労は、私などにはとても想像のつかないことと思います。

困難を一つ一つ乗り越え、巡行当日に向けて完成した山を見上げられた時の、皆さんの感慨はいかばかりだったでしょう。

今回、有り難くもその鷹山に上がらせていただくことができました。真新しい白木の香り。間近で聴く囃子方さんたちの演奏…。

時に、目の前の思いをつなぐことすら難しく感じることがあります。それが196年という長い長い時を経てなお、思いがつながるなんて。あまりに壮大過ぎて、すぐには信じ難い思いです。

その鷹山に、今、私はいる…。とても不思議な気持ちでした。

そのまわりでは鷹山復興を我が事のように喜び、祝福する人たちの絶えない輪と歓声。

胸つぶれる思いのニュースばかり目にするこのごろです。が、こうした光景に、人は決して捨てたもんじゃないんだよ、そう教えてもらった気がします。

今年の巡行は日曜日。営業日のため、テレビで鑑賞することとなりました。この時間帯に来られるお客様はほとんどなく、ゆっくりと見ることができました。

青空を背景に連なって進む山鉾の壮麗な姿。当たり前と思っていたこの眺めが、決して当たり前でないことを知った今年の祇園祭。美しさがひときわ心に染みました。

ところで京都では、祇園祭で買い求めた粽を厄除けとして玄関に吊るす風習があります。「しののめ寺町」では、毎年、北観音山と鷹山の粽を店内に置いています。お客様の中にそれぞれ縁(ゆかり)の方がおられ、開店間もない頃から頂戴しているものです。

なんでも今回の鷹山復興をけん引されたのは、北観音山で囃子方をされていた方だったとか。

奇遇に改めて驚きながら、「しののめ寺町」もまたご縁にあやかり、今日まで思いをつないでこられたのだなぁ。今年も二つ並んだ真新しい粽を眺めながら、感謝の思いを新たにしているところです。

疫病退散の祈りが一日も早く届きますように。そして誰もが幸せで平和な世の中になりますように。人は決して捨てたものじゃないことを信じて、また一年、進んでいこう。そんなことを思う今年の夏です。

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