アートなこと
2024年09月21日
名刺入れ
少し前のことになりますが、名刺入れを新調しました。
といいましても、これまで使っていたのは簡易なもので。きちんとした名刺入れを持つのは、恥ずかしながら初めてのことです。
作っていただいたのはNasila leather craftさん。
以前にこのブログで書いたことがあるご近所のギャラリー(ブログ月23 ブログある一つの事)で行われた個展がきっかけです。
いただいた案内状を手に訪ねると、若い男性が在廊されていて、その方が革作家の尹亮二さんでした。
作品にまつわる思いや工夫を聞かせていただきながら楽しく鑑賞するなか、私の目に留まったのが、カラフルな色が並んだ名刺入れでした。
小さいながらも各色がそれぞれに存在感を放っています。
かねてからきちんとした名刺入れがほしいと思っていた私は、やっと出会えた、という思いで購入を決めました。
そこにある色の中から選べばすぐに持ち帰れたのですが、他の作品であったオレンジ色がとても気に入ってしまった私。
オレンジはビタミンカラーと呼ばれるように元気が出る色。名刺入れにぴったりです。
色を大切に思う私としては外せないところ(ブログ 色)。時間が掛かっても、ということでオーダーさせていただいた次第です。
それから数か月、手元に届いた名刺入れはイメージしていた通りの仕上がりでした。
心待ちに過ごす時間、包みを解くワクワク感、なにより自分のために作られたという特別感…。
オーダーメイドってこういうことなんだぁ。ささやかながら、またひとつ、大人な楽しみを知った思いでした。
そもそも…。
自分が名刺を持つなんて、かつては想像もしないことでした。
なんの資格もなく、履歴書に書けるとしたら、今ではペーパードライバーとなった運転免許くらい。
まったくもって何者でもない私…。
それがご縁と成り行きで、店を構え、名刺を携帯する身に。以来、さまざまな方と出会う機会に恵まれるようになりました。
正しい作法も知らないまま、たどたどしく差し出す名刺。それでも、皆さん一様に優しく受け取ってくださり、名刺一枚で話が弾み…。
そうして開店から12年、これまでに何人の方と名刺交換させていただいたでしょう。改めまして、お一人お一人に感謝の思いです。
私にとって名刺は、気後れする背中をポンと押し出してくれる魔法の手のような。
外の世界とつながらせてくれるパスポートのような。
小さな紙一枚なのに、とても不思議な力を持った存在です。
そんな大切な名刺、ようやくふさわしい居場所を作ってあげることができました。
尹さんが心を込めて作ってくださった名刺入れ。仕事の大切なパートナーとして、末永く共に過ごしていきたいと思います。
これからも素敵な方たちと、たくさんの出会いがありますように。そんなことを改めて思うこのごろ。引き続きよろしくお願いします。