アートなこと

2024年07月04日

Woman‘‘Wの悲劇‘‘より

薬師丸ひろ子2

前回のブログで薬師丸ひろ子さんのファンになったことを書きました。(ブログ薬師丸ひろ子さんのこと

改めてCDを聴いてみると、聴き覚えのある曲ばかり。これも? これも?という感じで驚いてしまいます。演技と歌、まさに二刀流で第一線を駆け抜けてこられた方だったんですね。

なかでもひときわ心惹かれる曲があります。

「Woman‘‘Wの悲劇‘‘より」

松本隆さん作詞、松任谷由実さん作曲による、映画「Wの悲劇」のテーマ曲です。まずは歌詞を紹介します。

 

もう行かないで そばにいて

窓のそばで腕を組んで

雪のような星が降るわ

素敵ね

もう愛せないと言うのなら

友だちでもかまわないわ

強がってもふるえるのよ

声が…

ああ時の河を渡る船に

オールはない 流されてく

横たわった髪に胸に

降りつもるわ星の破片(かけら)

もう一瞬で燃え尽きて

あとは灰になってもいい

わがままだと叱らないで

今は…

ああ時の河を渡る船に

オールはない 流されてく

やさしい眼で見つめ返す

二人きりの星降る町

行かないで そばにいて

おとなしくしてるから

せめて朝の陽が射すまで

ここにいて 眠り顔を

見ていたいの

 

美しくも怖い情景がありありと浮かびます。

女性としてはなかなかに切ない状況ながら、惨めさがまったく感じられず。もはや愛憎を超越したかのような、静かな精神世界…。

聴くほどにに引き込まれていきます。

ここは地上なのか、天上なのか。

女性は聖女なのか、悪女なのか。

女性が朝の陽が射すまで見ていたいと願う男性の顔は、本当にただ眠っているだけなのか。

もしや…。

女性は雪か氷の化身だったりして。

いろんな想像が膨らみます。

なかでも驚いてしまった一節があります。

 

ああ時の河を渡る船に

オールはない 流されてく

 

諦観、というのでしょうか。まるで悟りの境地のよう。

私はいつもオールを両手でしっかと握りしめ、流れに乗ったり、抗ったり。非力ながらも自分なりに懸命にオールをさばきながら生きてきたと思っていました。

そのオールがない、って。

愕然としながらも、改めて振り返ってみると…。

握りしめていたと思っていたオールは、実は私の手の中になどなく。

自分で操作していたと思っていた河の流れに、ただ流されていただけだったのかも。

なんて思えてきたりして。

私もそろそろ幻のオールを投げ捨てて、潔く流れに身を任せてみようかな。

この短い一節で、いろんな思いが巡ります。

薬師丸ひろ子さん自身、何度歌っても、納得のいくことのない難しい曲と話されています。その時々の解釈で真摯に向き合われてきたのでしょう。

さらに年齢を重ねるごとに、どんな風に歌っていかれるのか。70歳になられた薬師丸ひろ子さんが歌われる「Womann"Wの悲劇”より」を聴いてみたいものです。

そしてそれを聴いた私はまたどんな風に思うのか。自分のことながら興味深い…。

作詞家、作曲家、歌手、お三人の才能が結集した名曲。皆様も改めてお聴きになられてはいかがでしょう。

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