店のこと
2025年04月17日
13周年

もう一ヶ月が経ちましたが、お蔭様をもちまして3月16日、「しののめ寺町」は13周年を迎えることができました。ひとえに皆様のご愛顧の賜物。ありがとうございます!
13年前の開店前夜、疲労のピークもとうに越え、押しつぶされそうな不安と緊張も既に麻痺し、もはや開き直りとも思える精神状態だったような。
なにを思ったか、連日飲み続けたドリンク剤の空瓶を並べると、その様が妙に美しくて。当時はまだスマホを持っておらず、デジカメで写真を撮ったりなんかして(笑)。
その夜も疲れからすぐに眠りに就き、翌朝はとにもかくにも開店にこぎつけられたという安堵感いっぱいで目覚めました。
そうして、いよいよ開店。表の戸を開けるや、一番乘りされたお客様に掛けた「いらっしゃいませ!」の自分の声…。今でも鮮明に覚えています。
普段よりトーンが高く、なかなか元気がいい。私、こんな声で「いらっしゃいませ」って言うんやぁ。
どこか他人事のように自分のことを観察しながら、店が店として始まったことを体感した瞬間でした。
あれから13年、何度「いらっしゃいませ」を言ってきたことでしょう。
店というのは不思議なもので、店の人間がいくらがんばっても「気」は満ちないように思います。お客様が入って来られて初めて「気」が満ちる。そのスイッチは「いらっしゃいませ」の声。
「いらっしゃいませ」の響かない店ほど寂しいものはありません。「いらっしゃいませ」の絶えない、「気」の満ちた店になりたい! その一心でやってきました。
けれど、なかなか難しい…。
それでも試行錯誤しながら、少しずつではありますが自分たちらしい店になってきたでしょうか。
なかでも周年記念になにか企画を考えるのは楽しいことでした。1周年に当時ご近所だったシェラメールさんに「山椒メレンゲ」を作っていただいたのが始まりです。
5周年記念にはユーサイドさんに「山椒まよねーず」を。8周年にはミメリエンダさんに「山椒ポルボロン」を…。いろいろな方にお世話になってきました。
13周年の今年はささやかに、でも実質的なことを、と考え…。じゃこ山椒の割引券をご来店のお客様にお配りすることにしました。作成はじゃこ山椒と山椒まよねーずのレシピでお世話になっているUTUCIKIさんです。
有効期限をいつにしようか迷ったのですが…。
2026年3月16日に!
一年後にこの券を持ってご来店くださったお客様に、「お店なくなってる~」なんてことがあっては申し訳が立ちません。また一年がんばるぞぉ、と自分へのエールを込めて決めた期限です。
配布は終了しましたが、券をお持ちくださるお客様もぽつりぽつりとあり。ご活用いただいていることをうれしく思っているところです。
予測もつかない急速な変化の続く今の時代。ぼんやりしている私は常に何歩か遅れがち。お客様のご要望に充分応えられているとはいえず、申し訳なく思うことたびたびです。
それでも、大好きなこの店。私なりにこれからも進んでいきたいと思っています。
来年の3月16日、割引券を持ってご来店くださったお客様に、元気な声で「いらっしゃいませ」とお迎えしている自分の姿を思い描きながら…。
また一年、よろしくお願い申し上げます。