アートなこと

2024年11月14日

みうらじゅんさんのこと

みうらじゅん

このところ心の中で蠢いている言葉があります。

「心のストッパーをはずせ!」

それも男性の野太い声…。

キャー!

いえいえサスペンスではありません(笑)。声の主はみうらじゅんさん。ことのはじまりは8月の終わりに京都伊勢丹で観た展覧会「みうらじゅんFES 」でした。

みうらじゅんさんのこと、皆様はどれくらいご存知でしょうか? 

ブログに書くからにはと、改めて調べてみました。イラストレーター、漫画家、「ゆるキャラ」「マイブーム」の生みの親。そこまではお伝えできるのですが…。

わかる方にはわかるでしょうか(笑)。多才で、多彩で、とても私の持てる語彙と表現力ではお伝えし切れません。興味ある方は是非ご自身でお調べいただきたいと思います。

そんなみうらじゅんさんの展覧会、ご本人の「マイブーム」の展示など、それはそれは独特の世界観でした。

まずは意表をつかれ。観ているうちに、どうでもいいことにこんなにも打ち込める、その熱量に感動し。やがて、ミョーに爽やかな境地にいざなわれ…。

って、説明になっていますでしょうか?(笑) こちらもまた、機会がありましたらご自身で体感していただくしかありません。

幸いなことに、展覧会には珍しく、肖像権の影響がある一部エリア以外は全て撮影OKでした。今時のこと、あちこちでスマホを向ける姿が。SNSで広く拡散されたことと思います。

そんななか、みうら氏の書斎を模した一角にみうら氏の等身大パネル、その横に椅子が一脚。という絶好の撮影ポイントがありました。

ここは是非とも押さえたい。一人で出掛けていたもので、シャッターを押してもらえそうな人を求めてあたりをキョロキョロ。決して嫌な顔をされそうになく、しかもスマホの撮影に慣れていそうな人…。

みうらじゅんワールドをとても楽しんでいる様子の若い男子3人組が目につきました。ノリよく、いい構図で撮ってくれるんじゃないかと頼んでみると、案の定、快く応じてくれました。

お返しに彼らのスリーショットを撮ったところで、一人の男子が「こっちでもどうですか? 足を組んで…」と指さす先を見ると。

隣の一角に大きな籐椅子があり、「エマニエル婦人の椅子」のタイトル。

おぉ~

若い彼らがエマニエル婦人を知っていることが驚きでしたが、願ってもないこと。と、座ってみました。

ここはもちろんエマニエル婦人よろしく深く腰掛け、両手を肘掛けに乗せ、けだるげに足を組む。はずが…。

できない。

彼らのお母さんより年上であろう私。彼らは洒落で言っただけで、ほいほいとその気になって座った私を、心の中では呆れているかもしれない。

いやいや、そんな意地悪なことはないだろう。ここは提案通り、なりきりポーズで決めよう。そう思うも…。

できない。

結局、つつましやかに(笑)浅く腰かけ、手を揃えて、足を揃えて、ハイチーズ!

思いがけず楽しい撮影になり、お礼を言って別れるも、私の中になにか忸怩たる思いが残っていました。

「心のストッパーをはずせ!」

その時です。心の中でみうら氏の声が。

この展覧会の趣旨はこれだったんだ! 身をもって気付かされた瞬間、まさに天の声でした。

スマホを見てみると、ただフツーに椅子に座っている、フツーの写真。この撮影ポイントが設けられた意図が微塵も伝わってきません。

私は本当は思いっきりはじけて、エマニエル夫人なり切り写真を撮りたかったんだ!

なのに、年齢とか、容姿とか、常識とか、そうしたもので自分の思いを押し留めてしまった…。

「心のストッパーをはずせ!」

以来、折に触れ、私の中に降りてくる声。と同時に、重い留め金を人差し指でポーンとはじき上げる絵が浮かびます。

するとたちまちなにかから解き放たれ、今までとは少し違った自分が立ち現れるような。

自分にストッパーをかけているのは自分自身。ストッパーをはずした先には、もっとたくさんの可能性、豊かな世界が広がっているのかもしれない。

みうら氏自身が、先頭に立って、あらゆるストッパーをはずし、彼ならではの表現でそれを証明して見せてくれた。それが今回の「みうらじゅんFES」というスタイルになったのではないのかな。

なんて、生意気にも私なりの解釈です。

ふざけているようで、大真面目な展覧会。そこでの不思議体験…。みうら氏と、写真を撮ってくれた男子たちに改めまして感謝です。

恥ずかしながら、自戒のために、ストッパーをはずせなかった写真を掲載します。

ここから変わっていきたい!

これからも温かく見守ってくださいますようよろしくお願いします。

エマニエル婦人の椅子

 

 

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