心と体のこと

2016年10月25日

二葉タクシー

先日、偶然乗ったタクシー。三つ葉のマークでお馴染みのヤサカタクシーさん。車体の色も緑の葉っぱも変わらないのですが、なんだか様子が違います。ほんの数台、四つ葉のマークがあると聞きますが、それとも違う。

京都の三大祭りの一つ、葵祭で行列の皆さんが身に着けられる二葉葵(ふたばあおい)のような。運転手さんによると、上賀茂神社の式年遷宮に合わせた期間限定の車だとか。レシートを上賀茂神社に持っていくと、記念品をいただけるとのこと。大切に財布にしまって降りました。




上賀茂神社までは自宅からは自転車で10分ほど。定休日の先日、陽気に誘われ出かけてみることにしました。わずかの距離ですが、久しぶりに走る賀茂川沿いのサイクリングは、やっぱり気持ちいい。着くとさっそくお札授与所へ。ワクワクしながらレシートを巫女さんに渡すと…。差し出されたのは5cmほどのステッカー。

ちっちゃ~い!

いえいえ、大きさの問題ではないですね。ありがたく頂戴しました(笑)。

上賀茂神社は実家からも近く、以前はよく訪れた場所です。高校生の頃、お正月に巫女さんのアルバイトをしたことも。結婚し、子供が生まれてからは、お宮参り、七五三。店を始めるまでは、初詣は決まってここでした。懐かしくて、ちょっと散策してみることに。 

陽射しが暑い日でした。境内のはずれを流れる小川の木陰で、ちょとひと休み。二人のこどもが小さい頃、夏になると水遊びに来た場所です。無邪気に遊ぶ、幼い日の二人の姿が浮かぶよう。その様子を眺めながら、慌ただしい日常から離れ、穏やかな気持ちになっている、若い日の私の姿もそこにあるような。

早くに結婚、出産した私。本当に未熟な子育てでした。今なら、もう少し違った対応ができたろうにと胸痛むことばかり。それでも、その時はそれが精いっぱい。それはそれで一生懸命やっていたんだなぁ。

よくがんばりました、私…。そんな言葉が口をついて出ました。

聞こえてくるのは、川のせせらぎと木々のそよぐ音だけ。こんな音を聞くのは何年ぶりでしょう。境内からほんの数メートル歩いただけで、こんな静寂があるなんて。目を閉じると、自分が限りなく透明になっていく気がします。

思い返せば、子育てに限らず、よくやったと思うことよりも、なにをやっていたんだろうと思うことばかり。後悔することは尽きません。時にそんな自分を責めることも。けれど、もう全部、許してやってもいいんじゃないか。そんな思いが湧いてきました。

川のせせらぎと木々のそよぐ音に合わせて、長年、溜めこんでいた澱(おり)が流れ、そうして消えていくような。いただいたステッカーを改めて見てみると、二葉葵は神との出会い幸せを呼ぶ…と書いてあります。

ああ、今、私は神様と出会ったんだ。

日々の慌ただしさに紛れ、なかなか気づけずにいるけれど、神様はいつも身近にいらっしゃるのかもしれません。二葉葵に導かれ、敢えては作れない時間を作り、出向かない場所に出向き、そこで神様に出会えたこと。それがすなわちご利益だったのでしょう。不思議な不思議な時間でした。

ちなみにネットで調べてみると、ヤサカタクシー1400台中、四つ葉は4台。二葉葵は2台とのこと。クジ運などおおよそ縁のない私が、なぜ ? ! あとになって鳥肌が立ちました(笑)。

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